紛争でしたら八田まで 8 モーニングKC
著:田素弘
出版社:講談社
祖母の家のある井狩市で暮らす妹のサチ。
彼女の友人であるイツキの仕切る弱小レディース、ヒノヤシャを井狩市統一を掲げる井狩北仙女(イガセン)から守る為、中小のレディースを連合させた八田。
それにより一旦は落ち着いたかに見えた井狩市のレディースだったが、謎の集団、グリーンマスクが連合を組んだレディースを襲う事件が起きる。
SNSでは噂が飛び交い、八田は自身が提案した休戦協定を利用した勢力拡大ではないかと推測する。
ともかくとして、八田は妹のサチにSNSの投稿の解析を頼んだ。
その後、連合を組むカミシマの元へ向かうイツキに、カミシマから襲撃を受けたとの連絡が入る。
襲撃が集会場所を決めたイツキの策略ではないかと思いこんだ、カミシマの上部組織、トリガネはイツキを拉致するのだった。
登場人物
トリガネ総長
井狩北仙女(イガセン)の対抗勢力だったトリガネの総長
くせ毛で短髪のハンサム女子。
イガセン総長の仕掛けた策略でイサキの率いるヒノヤシャを黒幕と勘違いする。
仲田二郎(なかた じろう)
外国人専門の旅館、凌天館のオーナー
短髪白髪の老人。
プロレス好きで大東プロレス後援会会長を務める。
ジーザス・スタン
アメリカ出身のプロレスラー
金髪碧眼のベビーフェイス。
父親も有名なレスラーで、そのスタイルを引き継ぎ人気を博している。
キリスト教プロテスタント。
スティービー・B
アメリカ出身のプロレスラー
モヒカンで髯のヒール。
リングではヒールを演じているが、本人は真面目なカトリックのキリスト教徒であり、人を傷つける行いに心を痛めている。
グレート・シン
インド出身のプロレスラー
身長230cmの巨漢レスラー。
寡黙で無口な青年。
タイガー・ハマド
インド出身のプロレスラー
モジャモジャ黒髪で髯の男性。
ヒンドゥー教徒。
サンジン
株式会社セロン、代表取締役社長
黒髪のリーゼントの男性。
韓国のスマホ用カメラの部品製造会社セロンの社長。
ヨニ
サンジンの恋人
黒髪美人。
就活の厳しい韓国で就職予備校に通う苦学生。
ソンホ
サンジンが家族として付き合っている会社の重役
細身でハンサムな男性。
セロンの社長はサンジンだが、実質的な経営や戦略は彼が担っている。
自分を拾ってくれた、先代社長夫婦であるサンジンの父母に強い恩義を感じている。
あらすじ
休戦協定により一旦、平和を取り戻した井狩市のレディース。
だが何者かの仕掛けたグリーンマスク襲撃とSNSによる噂の拡散で、最大レディース、イガセンに対抗する為、連合を組んだ中小レディース達は分断の危機にあった。
八田はその策略が表面上は休戦協定に同意した、イガセン総長の差し金ではないかと推測する。
頭の切れる彼女は襲撃とSNSによって連合したレディースでも大きな勢力を持つカミシマと、イツキ達、小規模レディースの対立を煽り、互いにつぶし合う事を画策したのではないか。
そう考えた八田はカミシマに捕られたイツキを救い、連合を維持させる為、イツキのいるカミシマの拠点へと潜入を試みるのだった。
感想
今回は前巻から引き続き、祖母の家のある井狩市のレディースのエピソードの続きから始まり、プロレスラーと宗教、韓国企業と北と南の三つが収録されました。
その中でも韓国のエピソードは、色々と考えさせられる物がありました。
韓国は資源に乏しく日本と同様、技術力を売りにして商売をしていくしかない国です。
ですが作中、描かれた様に現在は中国の台頭により、苦しい状況に置かれています。
中国は国策として技術開発に国費を投じ、その技術は凄まじい勢いで発展しています。
現状で緊縮財政の日本は予算の削減が目立ち、研究開発に国の予算を潤沢に割いているとは言えません。
このまま時代が進み、中国とアメリカの対立構造がより顕著になった時、技術力の衰えた日本がどうなるのか、今回のエピソードを読んでいてそんな事を思いました。
まとめ
今回のラスト、八田とも縁の深いPMC(民間軍事会社)所属のマチェのいるサハラ砂漠に向かうようです。
アフリカの広大な砂漠でどんな知性が煌めくのか、次巻も読むのが楽しみです。
この作品はコミックDAYSにて一部無料でお読みいただけます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。