アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり 2 ゼノンコミックス
著:荒井ママレ
医療原案:富野浩充
出版社:コアコミックス
総合病院の薬剤部に勤務する葵みどり。
彼女を中心に病院の内部事情や、薬を取り巻く様々な事柄が描かれる作品です。
登場人物
新田(にった)
足の骨折で入院中の患者
骨折で入院したが透析も受けており治療の為、大量の薬を服用している。
明るく気の良い人物だが薬の管理は雑。
小野塚(おのづか)
ドラッグストア併設の薬局に勤める薬剤師
就職した当初は向上心を持っていたが、薬局が24時間営業に変わり業務の過酷さから疲弊している。
伊吹響子(いぶき きょうこ)
オペ室看護師長
接遇委員会委員長。
接遇委員会とは病院職員の身だしなみや振る舞い、院内の清潔感等を指導する物。
学校の風紀委員的な役割。
松永(まつなが)
看護師
接遇委員会委員。
伊吹を尊敬し規則を守る事を第一と考えている。
丸岡(まるおか)
漫画家。
配送センターと漫画を掛け持ちしている。
狭心症で倒れ入院する事となる。
妻帯者であり奥さんは妊娠中。
現在は連載等は無く経済的に不安定な状態。
あらすじ
棚卸、病院で扱う薬剤の在庫を一錠残らず確認する作業。
その日は一日それに追われ葵にとってはかなり憂鬱な作業だ。
更に管理にうるさい刈谷がいる事で、雑な仕事は許されない。
ただ、彼女が病院に入ってから廃棄が減った事も事実だ。
その刈谷と組み、葵は彼女に叱責されつつ棚卸作業を進めていった。
作業には薬剤の動きを知り、今後の発注数を見積もる意味合いもある。
上層部からの圧もあり意味のある作業とは分かっていても、やはり面倒な物は面倒だ。
そんな事を思いつつ何とか作業を終えた葵達は数日後、刈谷からコストカットの為、術後抗生剤を減らせるか使用状況の確認を求められる。
調べてみると口腔外科の抗生剤の使用量が多い事に気付く。
電話で問い合わせるも術後の感染症を防ぐ為と取り合ってもらえない。
刈谷もそれに気づいており、葵に再度電話するよう指示を出す。
彼女の圧から逃れる様に、葵は口腔外科を尋ねるのだった。
感想
在庫の管理。
薬ではありませんが少し経験があります。
不良在庫を抱える事は経営にとって重しでしか無く、100仕入れて100売れるのが理想でしょう。
しかし現実はそんな事は不可能であり(売り切れ御免の飲食店とかはいけるかもですが)どの程度必要かこれまでの状況から推測し在庫を調整する必要があります。
あらゆる物には消費期限がありそれを超えれば廃棄するしか無く、当然それは赤字になります。
病院も稼働する為にはお金が必要です。
人件費、光熱費、機材費、施設の維持管理費等。
そして薬剤の調達費もその中には含まれています。
現在の社会の状況から無駄を減らす事は必要なのかもしれません。
ただ、病院のような直接命に係わる場所には余裕をもっていて欲しいとも感じました。
また、この巻には冒頭の棚卸の他、ドラッグストア併設の薬局の状況も描かれました。
作中、その薬局に勤める小野塚は午前11時から翌朝9時までの夜勤を週3日でこなしています。
それが常態化すればやがて壊れる人も出て来る筈です。
医療だけでは無く全てにおいて言える事ですが、余裕を持って暮らせる社会、それが実現されたらいいなと強く感じました。
まとめ
この作品は医療がテーマですが、今巻は経済的な物を扱っていた様に思います。
在庫の事、薬局、そして経済的な理由で薬を拒む人。
緊縮財政止めてくれないかなぁと読んでいて思ってしまいました。
この作品はゼノン編集部で第一話が無料でお読みいただけます。
作者の荒井ママレさんのツイッターはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。