バクちゃん 1 ビームコミックス
著:増村十七
出版社:KADOKAWA
他星系からの移民を受け入れている地球。
そんな地球の日本にバク星から夢を求めてやって来たバクちゃんのお話です。
設定・登場人物
世界観
地球は異星人の移民を受け入れている様で、街は多種多様な種族が暮らしている。
移民は現在の世界と同じく、滞在にはビザが必要であり永住権を得るには職業や居住年数等、様々なハードルを越える必要がある。
バク星と地球間の移動は東京メトロスペース線(銀河鉄道的なやつ)で往来しているようだ。
バク星
主人公バクちゃんの故郷。
夢が枯渇し住民は常に空腹感を感じている。
バクは夢を食べるが主食という訳では無く、栄養自体は普通の食事で賄える。
作中のバクちゃんのセリフ「お腹が足りないかんじ」という言葉から鑑みるに日本人的に言うと米を食べられない感じだろうか。
バクちゃん
バク星から来た少年
黒い毛並みのバクに似た姿の異星人。
夢の枯渇したバク星からおじを頼り地球は日本までやってきた。
優しく勤勉で素直な性格。
現在は一時労働ビザで入国したが、ゆくゆくは永住したいと考えている。
彼らは人の夢(睡眠時に見る物)を食べるが、その事で一部の人間は不安を感じている。
作中の描写では夢が食べられても、特に人体に悪影響があるようでは無さそうだ。
ハナ
地球人の少女
高校進学を機に名古屋から東京へ出て来た少女。
東京の満員電車で溺れかけていた(車内に水を満たしていた、理由は不明)バクちゃんを助ける。
バクちゃんはそのまま彼女の下宿先へ入居する事になる。
大食漢で食事の夢を見ると、深夜でもバカ食いしてしまう為、バクちゃんに夢の処理をお願いする。
特撮好き。
小牧さん(こまき さん)
バクちゃんとハナが下宿している家の大家
口は悪いがとても優しい人。
恐らくだがバクちゃんを気遣い禁煙を始めたようだ。
おじ
バクちゃんのおじさん
機械工学の研究者。
かなり優秀な研究者らしい。
ちなみに成人したバクは地球人型に変身できるのだが、かなりの美形。
ただ、変身は結構疲れるみたい。
ダイフク
おじの友人の息子
ハンサムな高校生。
おじの友人は食堂をやっているのだが、その食堂の手伝いは勿論、プログラムもこなしその上美形という、かなりスペックの高い少年。
あらすじ
夢を求めおじを頼り地球にやって来た異星人の少年バクちゃん。
地球での永住を望むバクちゃんだったが、のんびりとした母星とは違い忙しない都会の洗礼を受ける。
地下鉄のホームで母親にお守りに入れてもらった夢の欠片を無くし、満員電車で潰され、更に放水(なんで車内を水で満たすのかは不明)によって溺れかける。
散々な目にあったバクちゃんだったが、地球人の少女ハナに水中から電車の屋根に引き上げてもらいなんとか助かった。
しかし、水に濡れた事でおじの家を記した地図は読めなくなってしまった。
行く当てを無くし茫然自失になったバクちゃんに、ハナは泊る所はあるのかと尋ねる。
バクちゃんの答えはその辺の地面で寝るという物だった。
それはイカンとハナはバクちゃんを小脇に抱え「私と一緒に来やぁ」と電車の屋根から飛び降りた。
感想
作品は宇宙からの移民を受け入れた地球という形で描かれています。
ですが内容的には現実世界での日本における移民の扱いに近いモノを感じました。
ハンコ作りから始まり、住民登録や銀行口座解説等、実社会と変わらない仕組みが描かれています。
ハンコの事もそうですが、半年以上住むか、日本で働いていないと口座開設が行えないとか仕組みとして歪んでいる気がしました。
口座が無ければ携帯も契約出来ず、結果として連絡先が無い人は仕事が得られない。
なんかスタートする事さえ、させてもらえないという印象を受けました。
受け入れるけど働かせない。
困ったとしても自己責任では、余りに非情で救いが無いなぁと読んでいて感じました。
まとめ
色々困った状態のバクちゃんですが、彼の周囲の人々は優しく温かい人達が多いので読んでいて不安を感じる事はありませんでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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