アルテ 15 ゼノンコミックス
著:大久保圭
出版社:徳間書店
カスティリア王、カール五世の妹、王女カタリーナと共にフィレンツェを出てカスティリアを目指し旅を続けるアルテ。
その道中、母親の実家であるスパレッティ家に宿を求めた一行。
アルテはそこで母と再会を果たすのですが……。
登場人物
バジリオ
アルテの叔父
丸顔髯のおじさん
冤罪によりフィレンツェを逃げ出す事になったアルテの事を手紙で知り、彼女を責めた。
優秀で強い姉に苦手意識を抱いている。
アルテの母
冷静で気丈な性格の女性。
金で貴族の地位を買った実家の事を恥じている節がある。
見栄の為の散財を嫌う。
元々の性格もあるが、彼女はおおらかな夫を支えようとより強く賢くあろうとしたのだと思う。
カール五世
カスティリア皇帝、カタリーナの兄
他国で育った為、カスティリア語が話せない。
その事で貴族達からは軽んじられている。
グイド
宮廷画家となったアルテの護衛
黒髪垂れ目の騎士?
父親が外洋貿易を望んでおり、委任状目的で護衛を引き受けた。
彼自身外洋に興味を持っている。
あらすじ
フィレンツェからの旅の途中、母の実家に一夜の宿を求めたアルテ達。
叔父のバジリオはカタリーナがカスティリアの名家、オバンド家の名を口にした事で一行を晩餐会を開きもてなす事を決める。
しかし、フィレンツェからの知らせでアルテが罪人(罪を捏造された)であると知ると掌を返し、一行を追い出そうする。
そんなバジリオを彼の姉であるアルテの母は制止する。
彼女は静かにアルテに罪を犯したのかと尋ね、アルテがそれを否定するとそれ以上尋ねる事無く何かの間違いだと断言した。
血族から罪人が出ては家名が汚れる。
そう言ったバジリオにアルテの母は所詮、羊皮紙の貴人だと切って捨てた。
羊皮紙の貴人。
大金を稼ぎブルジョワとなった商人達、彼らは貴族の地位を金で買っていた。
その地位は羊皮紙一枚で保障される。
人々はそんなブルジョワたちを”羊皮紙の貴人”と揶揄していた。
彼女は羊皮紙一枚分の価値しかない家名より、家族を家から追い出す方が街の人々の軽蔑の対象になるとバジリオを諭し、一晩の事だとフィレンツェからの知らせを無視するよう現在の家長であるバジリオに嘆願した。
アルテの母は静かに弟であるバジリオを見つめた。
その視線に耐え切れなくなったバジリオは顔を俯け視線を避けた。
それを見てアルテの母は場を仕切り、晩餐の準備の指示を使用人達に告げる。
晩餐はバジリオが姉であるアルテの母には勝てないと凹んだりもしたが、穏やかなムードで進んだ。
その後、アルテはカスティリアに行く事で、二度と会えなくなるかもしれない母の絵を描きながら彼女と話す事になる。
感想
今回は前巻から引き続き、アルテの母の実家、スパレッティ家での晩餐から始まり、母と父、内乱の街、カール五世に謁見等が描かれました。
今回、印象に残ったのはカール五世。
彼は登場人物紹介に書いた様に、カスティリアの貴族達に軽んじられています。
アルテとの謁見もカスティリア語が分からない彼は、アルテの訛りのあるカスティリア語の挨拶にも答えず、通訳を介して返事をしていました。
政治の様な些細な言い回しで受ける印象が変わる物では、言葉が通じるか否かは非常に重要でしょう。
それに言葉が分からなければ臣下との距離もおのずと開いてしまう様に思います。
宮廷画家となったアルテが、カール五世とどう絡むのか。
次も楽しみです。
まとめ
皇帝が宮廷で批判される国、カスティリア。
アルテはその宮廷でどんな事を為すのか。アルテの護衛となったグイドとアルテはどんな関係を築くのか、色々先が楽しみです。
この作品はコミックゼノン公式サイトで第一話が無料でお読みいただけます。
作者の大久保圭さんのツイッターはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。