片喰と黄金 3 ヤングジャンプコミックス・ウルトラ
著:北野詠一
出版社:集英社
マイルス達の馬車に便乗しボルチモアに辿り着いたアメリアとコナー。
二人は移民船で出会ったダラ(偽物)からもらった手紙を頼りに、ダラ(本物)の親戚を尋ねます。
登場人物
レイノルズ夫妻
ダラの義父母
ボルチモアに住むアイリッシュの夫婦。
娘婿のダラの身を案じ、ずっと待っていた。
イザヤ
絵を描きながら旅をしている青年
髪の長い身なりのいい陽気な青年。
絵画の技量が高くパトロンの支援を受け、かなり快適な旅をしている模様。
一方で銃で人を撃つ事に全く躊躇いを見せず、関心事以外には全く興味を示さない。
あらすじ
ボルチモアに着いたアメリアとコナーはマイルス達と別れ、ダラ(偽物)から貰った手紙を頼りにダラ(本物)の親戚の家を訪ねる。
事前にコナーと打ち合わせをして、自分達はダラ本人から手紙を受け取った事にしようと相談を交わす。
しかし、家から出て来た夫婦の姿を見たアメリアはダラが死んだ事を告げた後、自分達が死んだ彼から手紙と金を奪い、更にはその手紙に手を加え支援を受けようとしたと告白しダラの財布を差し出した。
手紙と金を盗んだのはダラ(偽物)であり手を加えたのも彼だったが、アメリアはアメリカを見る事無く死んだ彼がこれ以上、憎まれるのが嫌だった。
ダラの義母はアメリアの告白を聞いて、彼女の頬を張った。
叩かれた拍子にアメリアが差し出した財布は地面に落ちる。
義父はその財布を拾い上げ握りしめると怒りを顕わにし、ダラは最後を辱められていいような子じゃなかったと二人を睨んだ。
家に戻る二人を見て、アメリア達はその場を後にしようとする。
しかしダラの義父は彼らを引き留め、空いている部屋を貸すと二人に告げた。
驚くアメリアに義父は憎しみはあるが、金のない子供を寒空の下放り出すような恥知らずでは無いと答えた。
感想
今回はダラの義父母、イザヤとの出会い、そして鉄道での旅の始まりが描かれました。
この時代、アメリカ西部はまだ統治が行き届いておらず、かなり危険な土地の様でした。
そんな土地を旅する力としてアメリアは銃の力を欲します。
彼女は銃の腕を磨き、イザヤの様に殺す事無く撃退出来ればと考えている様でした。
その訓練の際、コナーの持つ問題も浮き彫りになります。
彼はアメリアに依存しています。
誰かに自身の舵をゆだねれば生きるのは楽かもしれません。
何か失敗しても全てその誰かの所為に出来るのですから。
しかしその誰かも永遠では無いし、人である以上間違いを起こす筈です。
何かを為した時、指示したのは他人でも行ったのは紛れもなく自分である筈で、思考停止していたとしても責任はある様に感じます。
アメリアは自分を律し省みる事の出来る素晴らしい人物ですが、もし彼女が間違った時、コナーがイエスマンでは無くそれを正せる人になって欲しい。
読んでいてそう感じました。
まとめ
アメリア達はイザヤという仲間を得て、彼のパトロンの家があるというセントルイスに向かいました。
終盤、トラブルメーカーっぽい新たな人物も登場し、彼らの旅は段々と賑やかになってきました。
この作品はコミックDAYSにて一部無料でお読み頂けます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。