アルテ 13 ゼノンコミックス
著:大久保圭
出版社:徳間書店
貴族の娘アルテが画家であるレオの弟子として画家を目指す物語。
イレーネの肖像画の仕事を終えたアルテは、依頼主である枢機卿のシルヴィオから呼び出しを受けました。
貴族と政治の問題にアルテとレオは巻き込まれる事になります。
冒頭あらすじ
フィレンツェをジュリオ・メディチから委任された男、シルヴィオ・パッセリーニ。
ローマ教会の枢機卿でもある彼からの仕事、イレーネ、本当の名はカタリーナ、カスティリア王国の女王の娘であり、神聖ローマ帝国皇帝カール五世の妹でもある女性の肖像画を描き終えたアルテは、そのシルヴィオから呼び出しを受ける。
訪れたシルヴィオの屋敷で彼はアルテを機嫌よく迎えた。
今回の肖像画の仕事にはかなり時間を要した。
そのクレームかと身構えていたアルテは少し拍子抜けする。
シルヴィオはアルテにイレーネの様子を尋ね、アルテがイレーネに気に入られたようだと分かると満足気に微笑んだ。
その後、シルヴィオはアルテにイレーネに同行し、今回と同じくイレーネの動向を報告してくれないかと打診する。
肖像画の製作により、寝不足で頭の回っていなかったアルテは「密偵をしろということですか?」と思った事を尋ねてしまう。
シルヴィオは我に返って慌てるアルテに、話が早いと現状を話し始める。
皇帝カール五世と教皇の座が目前のフィレンツェの支配者ジュリオ・メディチは、その思想において相反しており、いずれ敵対する可能性もある。
そこで、皇帝の妹であるカタリーナ(イレーネ)の側に息のかかった人間を置いておくのは有益とシルヴィオは考えたのだ。
フィレンツェの平和を持ち出し説得するシルヴィオの申し出を、アルテはきっぱりと断った。
「イレーネ様は私の大事な友人ですので、裏切ることはできません」
アルテの言葉にその場は引き下がったシルヴィオだが、屋敷を去ろうとしたアルテを拘束。
ポデスタ宮の地下牢に入れるよう部下に指示を出すのだった。
感想
今回、アルテはフィレンツェの支配者であるシルヴィオの依頼を断り、地下牢に入れられる事になりました。
無実の罪で投獄されたアルテですが、この時代、為政者による罪の捏造は珍しくない様でした。
証拠は捏造され、証言も拷問によって無理矢理引き出される。
また、それを行う役人達もシルヴィオの不興を買う事を恐れ、不正を告発する事はしなかった様です。
権力によって本来あるべき法も人も捻じ曲げ従わせる。
そんな事をしていながら、表向きシルヴィオは慈悲深い男を演じています。
何だか読んでいて、現在の日本の姿を思い出しとても不快でした。
まとめ
無実の罪により投獄されたアルテでしたが、彼女の周囲は誰一人アルテが罪人だとは疑ってはいませんでした。
裏表の無いアルテの行動が彼らの信頼を築いたのだと感じさせるエピソードでした。
この作品はコミックゼノン公式サイトで第一話が無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。