つらねこ 1 青騎士コミックス
作:熊倉隆敏
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン
山に囲まれた緑豊かな田舎町、函森町。
その函森町に住む中学生、上祢知里(かみね ちり)には悩みがあった。
彼女は町の中心にあるご神木から2キロ以上離れる事が出来ず、生まれて一度も町の外へ出た事がないのだ。
そんな状況を打破すべく、知里はネットで同様の境遇で悩む人を探し、友人が知里と同じ状況だという六尺と名乗る女性と知り合うのだが……。
登場人物
上祢知里(かみね ちり)
黒髪ポニテの中学生女子
この世界を形作ってきた過去の記憶やエネルギーが集まったもの「ネ」に縛られた少女。
「ネ」に良い影響を及ぼす「ネガガリ」である彼女は、生まれた場所のネの力で御神木を中心に2キロ圏内から離れられない。
彼女が町にいるおかげで天災は起きず作物の実りも良いようだが、町を出られない知里は住民たちとの付き合いにも気を使っている。
友人の朋(とも)が中学卒業後、東京へ引っ越すと知り、町を出る方法を探していた。
六尺(ろくしゃく)/野辺綾(のべ あや)
黒髪まとめ髪で眼鏡の女性
知里と同じ境遇の友人を助けようと、ネの影響から逃れる方法を探していた。
知里とはネットを通じて知り合う。
知里をネズミと呼ばれる妖の巣窟、ネドコへと導く。
イチマ
前髪パッツンロングで白いワンピースの少女
ネドコの住民で知里の事を色々と助けてくれる。
六尺は彼女について何か知っているようだが……。
朋(とも)
知里の友人
肩口ショートの中学生女子。
小学生の時、函森町に父親の仕事の都合で東京から引っ越してきた。
外の事を知りたがった知里のおかげで、他の子とも打ち解け友人となる。
中学卒業後、東京へ引っ越す事となったが、その事を知里達には秘密にしていた。
澄(すみ)
知里と同様、ネガガリの少女
ショートカットで好戦的な関西弁の女の子。
キアヌ・リーヴスの信奉者で、推しへの想いを込めた一撃はネズミ達に強い痛みを与えるようだ。
なんとなく役人っぽい男女と共にイチマを探している。
あらすじ
ネットを介して知里が知り合った女性、六尺。
彼女が提示した町を出る方法、それはネに住む者達、ネズミを使い彼らの住処であるネドコに侵入。
そのネドコで起きている問題を解決し、出口を作り、ネドコを中継した道を作り出すというものだった。
危険ではないのか?
知里の問いかけにチビちゃん(知里のハンドルネーム)なら大丈夫と画面越しの六尺は微笑んだ。
そんな六尺に導かれ、知里はネズミの住処であるネドコの一つを訪れる。
ネドコへの移動中、気を失った知里が目覚めると、そこは学校の教室のようだった。
更にいつの間にか着ていた服はバニーガールの衣装へと変わっていた。
「なななな何でこんな格好――――ッ!?」
「仮装です!」
笑顔で答えた六尺に詰め寄ると、彼女は知里に廊下を見てと促した。
教室の扉から廊下を覗くと、そこには山椒魚に似た巨大な何かがのしのしと闊歩していた。
感想
イメージ的に龍脈のような、レイヤードな世界のような、ネに縛られた少女、知里。
そんな彼女がネについて調べたという女性、六尺に導かれ、妖怪的な存在、ネズミと人の残留思念のような影の存在するネドコの問題を解決するお話。
ネズミの形は様々で、その様子は百鬼夜行のよう。
また、ネズミは影を襲う他、人間も食べるようで、特にネに良い影響を与えるネガカリである知里は彼らにとってごちそうのようです。
知里が六尺にバニーガールにされたのも、うさぎだと誤認させるためだったみたいです。(六尺の趣味の部分がかなり大きいようですが)
ネドコの問題を解決し、どこでもドア的な感じで行動範囲を広げる知里。
現在は出た場所からあまり遠くへは行けないようですが、行ける場所を増やせばネの影響も小さくなる模様。
終盤に登場した澄たち、イチマを探す三人の他、何か隠し事がある様子の六尺等。
色々、気になる事が多い作品でした。
まとめ
少女が不思議な世界に迷い込み、そこで起きる問題を解決する。
登場するのは妖怪めいた怪物と、食われ続ける影たち。
こう書くとおどろおどろしい印象ですが、知里たちやネズミや影達も明るいので、読んでいて暗い印象は感じませんでした。
次回は澄たちが本格的に知里に絡むのでしょうか。
なんにしても、読むのが楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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