人間のいない国 1 アクションコミックス
著:岩飛猫
出版社:双葉社
ゴーレム(機械人形)しかいない街に一人、人間の少女が現れます。
彼女は二体のゴーレムと出会い、彼らの助けを借りて人を求め探し始めます。
設定・登場人物
街
ゴーレムしか存在しない街。
維持管理をゴーレム達が行っている為、人はいないが住居、施設等は保全されている。
作中のキャラクターの話では400年間、人間はいなかったようだ。
ゴーレムには自律型と固定型が存在している。
自律型は状況判断を行い適宜自身の行動を選択する。
固定型は工場等で決められた作業を行う。
自律型は人間に対するサービスを行う物に採用されており、人がいない間もそのサービス提供者を待っていた。
シイ
人間の少女
過去を思い出せず三角頭のゴーレムに追われるまま、街を逃げ惑う。
その最中出会ったゴーレム、バブルに助けを求めた。
バブル
玉ねぎ頭のゴーレム
自律型でありマスターの世話を彼が亡くなった後も続けていた。
非常に強力な力を持つ非合法改造されたゴーレム。
脳波を検知する事で人の気持ちがある程度分かる。
頭部にある瞳から強力な光線を放てる。
喋る事は出来ない。
ムイムイ
羽根を持った小型のゴーレム
箱型の体に羽根と六本の足を持ったゴーレム。
情報提供とバブルとシイの橋渡し役を行う。
ネットワークに接続し情報の検索が可能。
サイズは子猫程で戦闘能力は皆無。
ティーファ
人の姿をしたゴーレム
人の友人になるべくして造られたゴーレム。
非常に整った顔立ちの青年の姿。
現在の姿はデフォルトらしく、性格容姿はマスターの好みでカスタマイズ可能。
あらすじ
不思議な街で目覚めた少女シイは、理由も分からないまま三角頭の黒いゴーレム達に追われ街を逃げ惑う。
その道中、列車に乗ったシイを玉ねぎ頭のゴーレムが追手から匿ってくれた。
他に寄る辺の無いシイは、何処かに導きたいらしいそのゴーレムの後を追ってとある集合住宅に辿り着く。
集合住宅の一室に案内されたシイは、小型のゴーレムに入室を止められた。
喋る事の出来るその小型ゴーレムの言葉で、自分を助けたゴーレムの名がバブルだとシイは知った。
そのバブルを追って小型ゴーレムを躱し部屋に侵入したシイだったが、そこでも追って来た三角頭に襲われそうになる。
しかし、侵入者と断定された三角頭はバブルの放った光線により一撃で破壊された。
侵入者の排除を訴える小型ゴーレムの言葉に、シイは自分も排除するのかと怯えた表情でバブルを見上げた。
しかし、バブルはシイを排除する事無く、奥の部屋に彼女を導いた。
モニターが複数並んだ机に背を向けて誰かが座っている。
マスターだというその人物の側にバブルはシイを導いた。
恐る恐るシイが話しかけた人物は、亡くなってから長い時が過ぎていたのか既に白骨化していた。
感想
街にゴーレムは溢れていますが、人はシイしかいません。
また、人の滅んだ街というとディストピア的な世界を想像しますが、本作ではゴーレムが維持管理している為、街は殆どの施設が生きており利用可能の様です。(水道等は使う人がいない為、錆びたりしているようですが)
シイとバブルの関係は作者の岩飛猫さんもツイッターで発言されていた様に、ラピュタにおいて砦で追われたシータとロボット(ラピュタのロボットはシータを怯えさせていましたが)的な感じ……ちょっと違いますね。ロボットとパズーが混じった感じでしょうか。
傷つきながらシイを守り戦うバルブ。
クロノ・トリガーのロボが大好きなのでとても楽しく読めました。
まとめ
バブルがシイを助けるのはプログラムによるものか、自らの意思か。
AIやロボットの登場するSFを読むと、たまにそんな事を考えます。
電子頭脳に感情は宿るのか。
ただ、人間の脳も電気信号で動いています。
広義的に考えれば人も生体機械ではないのか。
攻殻機動隊の少佐の話を読んでから、時々、人と機械の境界線を考えてしまいます。
この作品はpixivコミックにて一部無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。