税金で買った本 3 ヤンマガKC
原作:ずいの
漫画:系山冏
出版社:講談社
図書館でのバイトしているヤンキー少年の石平紀一(いしだいら きいち)を中心に図書館の仕事のあれこれを描いた作品、第三巻。
登場人物
鈴木(すずき)
サイドテールの女性
十年前無くしてしまった本の事で図書館を訪れる。
しかし鈴木自身には延滞の記録は無く、無くした本についても記憶が曖昧で途方に暮れる。
三浦(みうら)
北中学校から職業体験に来た女子中学生
眼鏡にお下げの女の子。
将来の夢は図書館で働く事。
竹中(たけなか)
白髪髭の太ったおじさん
返却延滞や弁償依頼の遅延など、色々ルーズ。
角野(かどの)
司書資格を持つ正規職員
黒髪ショートで眼鏡のキリっとした女性。
本の質にこだわる良書主義
梨原(なしはら)
司書資格はないが開館当初からのベテラン職員
後ろ三つ編みのホワっとした女性。
人気を一番に考える貸出至上主義。
吉沼(よしぬま)
図書館職員、一般チーフ
眼鏡で糸目の年配男性。
会議でぶつかる角野と梨原の仲介を任されるが……。
あらすじ
その日、鈴木は十年ぶりに図書館を訪れていた。
彼女は十年前、本を紛失し図書館から遠ざかっていたが、本を借りようと久しぶりに来館したのだった。
そんな彼女を紀一は司書の早瀬丸(はやせまる)の元へと導く。
早瀬丸は鈴木の貸し出し記録を調べるが彼女が借りた本はすべて返却されていた。
しかし鈴木は確かに本を紛失した記憶があるという。
十年前という事もあり、本のタイトルは思い出せないが夏休みの宿題で助かった事ははっきりと覚えていた。
鈴木は自分が借りた本がどこにあるのか気になったようだが、本のタイトルは思い出せず、子供向けの歴史の本というだけでは余りに数が多く特定は難しい。
早瀬丸は弁償担当の白井(しらい)にバトンタッチするが、鈴木のカードでは本の延滞や弁償の記録は見受けられなかった。
「私の勘違い……でしょうか?」
「そこまではっきり本を借りた事を覚えてらっしゃるなら、勘違いではないと思うんですよね」
うーんと唸る白井に鈴木は語る。
彼女は幼いころ、よくこの図書館に来ていた。
しかし本をなくしてから謝りにいく勇気がなくて、ずっと訪れる事を避けていた。
「今日やっと来れたんです」
本が返されたのか知りたいし、自分がなくしたままなら弁償したい。
もう少し調べてもらえないでしょうか……。
鈴木は思いつめた顔でそう白井に頼んだ。
感想
今回は冒頭、本を紛失した事に後ろ暗さを抱いている女性、鈴木のお話から始まり、女子中学生、三浦の職業体験、紀一の友人山田とモテる方法、弁償延滞おじさん、本の撮影とルール、漫画と図書館、選書会議前夜などが収録されました。
その中でも漫画の所蔵についてが印象に残りました。
図書館は大好きな施設ではありますが、漫画が収蔵されていない事をずっと疑問に感じていました。
なんとなく娯楽、趣味のものだからかなぁと考えていましたが、今回収録されたエピソードで得心がいきました。
作中の白井の説明によれば、第一に子供が借りる率が多いだろう事。
第二にほとんどの漫画がソフトカバーである事があげられていました。
ハードカバーより脆弱なソフトカバーの本、しかも利用者の多くが子供となれば、破損、修復、弁償といった仕事が膨大に発生してしまいます。
エピソードを読んでいてなるほどなぁと凄く納得は出来ました。
でも絶版で入手困難な漫画等を読んでみたいなぁと常々思っているので、電書とかアーカイブ的な物があればいいなと思いました。
まとめ
この巻の終盤、選書については真逆の二人、角野と梨原という問題を抱えたまま、選書会議が行われることになりました。
会議の行方はどうなるのか、次回も楽しみです。
この作品はヤンマガwebにて一部無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。