空挺ドラゴンズ 14 アフタヌーンKC
著:桑原太矩
出版社:講談社
設計技師、ネネッタが提案した新たなクイン・ザザの設計図。
彼女の考案した嵐を乗りこなす船には、もう一基、震臓バラストが必要だった。
船長代理のクロッコは、それをテュポーンに襲われた初代クイン・ザザ号に求めた。
龍に寄生され南の空を彷徨っていた初代クイン・ザザ号から震臓バラストを回収した一行は、新生クイン・ザザに乗り込み、震天王テュポーンの捕獲に動き出す。
登場人物
トイヤン
航路開拓のため屠龍船プラナ・グラーヴァ号に出資した企業家
黒髪細面の男。
業界大手の東ノチアス社のシェアに食い込むため、積極的に龍を狩り新たな航路開拓を目論む。
クルガの義父
額から左目にかけて傷を持つ穏やかな雰囲気の老紳士
孤児院からクルガを引き取ったが、その帰路で飛行船がテュポーンに襲われ命を落とす。
クルガが龍を憎むようになったのは、その一件が起点のようだ。
あらすじ
設計技師、ネネッタが考案した新たなクイン・ザザ。
二つの震臓バラストを並列に配置することで高い機動性を得たその船は、あらゆる意味でピーキーだった。
出港後、見つけた龍に船員たちは張り切るが、速度が出すぎて龍を追い越し、舵を切れば曲がりすぎる。
結局、龍には逃げられ龍の肉はお預けとなった。
総舵手のカペラは慣熟飛行も無しにいきなり捕龍なんて無理だと口にするが、船長のクロッコは船のクセは実戦で覚えるのが一番と返した。
一方、船員のミカは久しく口にしていない龍肉のステーキのため、逃した龍の捕獲に躍起になっていた。
クイン・ザザに追われ過敏になっている龍に近づくため、ミカは雲に潜って近づくことをブリッジに伝えた。
ミカが潜れと言った雲は積雲。
内部は乱気流で満ちている。
呆れた様子のカペラにクロッコは突っ込めと指示を出す。
新たなクイン・ザザは嵐を乗りこなす為に作られた船だ。
それに船のクセを覚えるには実戦が一番。
カペラは覚悟を決め、乱気流の吹き荒れる雲の中に船を進めた。
風に揉まれ船は激しく揺れた。
そんな中、カペラは舵輪からそっと手を放す。
すると船の揺れは徐々に治まりを見せた。
「私……少し分かってきました。新しいクイン・ザザは力で従わせちゃダメなんです。行きたい方向にそっと優しく押してあげるだけでいい……」
船のクセを掴んだカペラの操るクイン・ザザは、乱気流の中を滑るように飛んだ。
感想
今回は新生クイン・ザザ号の初飛行と龍捕りから始まり、難破船と砂嵐、屠龍船プラナ・グラーヴァ号船長、クルガの過去と戦いの始まり、捕龍船クイン・ザザ、屠龍船プラナ・グラーヴァとテュポーンとの死闘などが描かれました。
クイン・ザザとプラナ・グラーヴァはどちらがテュポーンを仕留めるかで競争となっていましたが、連携というわけではないですが、共闘する形となりました。
ライバル同士が強敵を前に手を取り合う。
お約束な展開ではありますが、読んでいて胸が熱くなりました。
また、作中、難破船の生き残りが語ったテュポーンの怒り。
彼(彼女)が空に出た人間になぜそこまで怒りを抱いたのか。
その理由も気になりました。
まとめ
この巻のラスト、クイン・ザザの船員の一人であるジローの父が登場しました。
捕龍船の射手らしい彼とジローがどんなことを話すのか。
次巻が楽しみです。
この作品はpixivコミックでも一部無料で読む事が可能です。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。