ラストオーダー 1 ひとりぼっちの百年戦争
著:浜松春日
イラスト:カズナリ
カバーデザイン:AFTERGLOW
出版社: 講談社 講談社ライトノベル文庫
講談社が運営する投稿サイト「NOVEL DAYS」にてリデビュー小説賞を受賞した作品です。
設定・登場人物
世界
ヒューマロイド(人型ロボット)排斥運動が激しさを増し、機械が憎まれていた時代。
それから百年後、地上には人狩りと呼ばれる半生体兵器の怪物たちがうろつき人は地下での生活を余儀なくされている。
テクノロジーは衰退し、人類は地上や地下に残された文明の残滓を利用する事で生き延びている。
ただ、新たに生み出される事の無いそれらに頼った生活は、先細りを見せている様だ。
リア:DHI-Type77 エゲリアNo-13
軍用ヒューマロイド
陸軍機械歩兵大隊に所属する女性型ヒューマロイド。
美空色の髪と褐色の肌、赤い目の女性の姿。
受けた命令を頑なに守り、変わってしまった世界、無人の都市で一人戦いを続けていた。
ケンジ
高校生
世界が変わる前、リアと親しくしていた人間の一人。
リアが機械である事を気にする事無く、人と同様に接していた。
ユメ
高校生
母の店「あしもふ」でヒューマロイドメイドのコスプレで働いている。
彼女もケンジ同様リアを差別する事無く接していた。
リョータ
高校生
ケンジ達の友人、金髪で気崩した制服の少年。
軽いノリだが彼もリアが機械である事を気に掛けた様子は無い。
ノーリィ
孤児の少年
地下集落「モウル・コタン」で暮らす少年。
地上に憧れを持ち、集落で唯一地上に出て物資の収集を行う「上陸衆(かみおかしゅう)」になる夢を抱いている。
ミクリ
ノーリィの妹
人を恐れノーリィ以外には打ち解けない。
失語症により言葉を失っている。
オリバー
モウルに住む少年
彼は孤児では無いがノーリィに友人として接している。
ねずみ狩りの仕方などをノーリィに教える。
エイミー
モウルの長の孫娘
ノーリィの幼馴染。
彼女はノーリィにほのかな恋心を抱いているようだ。
伝道師と呼ばれる過去の出来事を伝える者に、巫女見習いとして選ばれた。
キツネ
集落を渡り歩く旅商人
見た目は優男だが中身は計算高い青年。
かなりの情報通で、世界の状況についてかなり正確に把握している。
あらすじ
人の仕事を奪うヒューマロイドに対しての排斥デモが行われている時代。
軍用ヒューマロイドであるリアは外出許可が出たその日、高校生のケンジと知り合う。
外出許可と共に出た上官である大尉からの命令は「守りたいものを見つけてきなさい」という物だった。
それが何か分からないまま、街を歩いている時にトラブルに巻き込まれそこをケンジに救われたのだ。
ケンジに連れられ訪れた店では、沢山の人間の友人が出来た。
帰還時間が迫り店を後にしようとするリアに、ケンジたちはまた来いと言ってくれた。
それから百年余り、リアは廃墟の街で人狩りと呼ばれる半生体兵器の群れと機械を破壊しようとする人間を相手に街を守る戦いを続けていた。
感想
冒頭は恐らく今より進んだ世界、ヒューマロイド、所謂人型ロボットが人間に変わり様々な仕事をこなす様になった時代が描かれます。
その後、百年程の後、一人戦い続けるリアの元にノーリィとミクリの兄妹が助けを求め現れます。
ロボット、AIによる労働の変化は実際に起こり得る事だと感じます。
経営者は人件費の要らない労働力を欲しがりそうですし、機械であれば時間を気にせず働き続ける事が可能でしょう。
納入コストとメンテナンス、燃料費。
それと人件費を天秤にかければロボットに傾く日は近づいている様感じます。
しかし、何となくですが仮にそうなったとしても、人の仕事が無くなる事は無い様な気もします。
たぶん、初期は様々な問題が起こるでしょう。
そしてそれが収まり、ロボットがいる事が普通になった後。
恐らく人は単純労働から解放されるのでは無いでしょうか。
ただ、人間は何もせずに生きていける程、退屈に耐えられないと思います。
ロボットが労働を肩代わりする事で生まれた余暇を、人は何かに当てる筈。
何となくですがそんな気がします。
まとめ
とても王道的な気持ちのいい作品でした。
ターミネータ2、ディストピア、アンドロイドと人の関係性等が好きな私にはかなりストレートに刺さるお話でした
イラスト担当のカズナリさんのアカウントはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。