グヤバノ・ホリデー 楽園コミックス
著:panpanya
出版社:白泉社
見慣れた日常に似た少し不思議な世界を考察するシリーズ、第五弾です。
各話あらすじ
家を建てる
書店で目にした雑誌「週刊家を建てる」
創刊号は190円、付録は呼び鈴。
この雑誌は付録である家のパーツを集め、最終的に一戸建てを作る事が目的のようだった。
宿題のメカニズム
夏休みの宿題を前に少女が唸り声を上げていた。
まったくやる気が起きない。
飼い犬のレオナルドは計算ドリルに疲れたら、漢字ドリルをすればいいとアドバイスをくれたが、彼女はそもそも宿題をしたくないのだ。
どうにか真面目に宿題をしなくていい方法を模索した彼女は、全自動宿題やり機の設計図を描き上げた。
学習こたつ
冬のある日、登校すると机が全てこたつ仕様に変わっていた。
担任の話では文科省がこたつと学力の関係を調べる為、試験的に支給したものらしい。
カリフォルニア大学の研究では、脚部を温める事によって血行が促進され脳に回るエネルギー効率が良くなるそうだ。
缶詰の作り方
タイトル通り缶詰の作り方を手作業で説明する。
日頃、何気なく消費している缶詰に、どれだけの手間がかかっているのか良く分かる。
いんちき日記術
絵日記を付けるのをサボっていた事で開いてしまった日記を、飼い犬のレオナルドの散歩の様子で埋めようとした少女。
レオナルドから話を聞きつつ日記を書いていたのだが、彼女はその事で自分の記憶の曖昧さを改めて認識する。
グヤバノ・ホリデー
アメ横で一時期だけ売られていた缶ジュース「グヤバノネクター」
元は南北アメリカ原産の果物で、フィリピンなど東南アジアで親しまれている果物だ。
思いの外美味しかったのだが、そもそも輸入が不安定で購入したアメ横でも売り切れており、次回入荷も未定らしい。
その事を編集に話すと彼はフィリピンに行けばいいと軽く言った。
話を聞けば彼は個人的にフィリピン旅行を計画しており、良ければ同行しないかと持ち掛けて来た。
グヤバノへの想いが断ち切れない著者は、よろしくお願いしますと彼と握手を交わした。
比較鳩学入門
ビルの上に立つ看板に一話の鳩がとまっている。
電車からそれを眺めていたのだが、どうも普通の鳩よりかなり大きな気がする。
真相を探るべく少女は友人と二人、看板の立つビルを目指した。
偶然の気配
気持ちを代弁する街の風景。
知らない夏
夏のある日、町を散策中に見つけた流しそうめんのお話。
許可2
信楽焼の狸に、ご自由にお持ちくださいと張り紙がされている。
水族館にて
魚の写真は何故左向きなのか。
符合
小鳥がクルクルと回っている。
それを見て少女はあの下で、誰かが頭をぶつけたのかもと妄想を膨らませる。
いつもの所で待ち合わせ
変わりゆく町の風景。
芋蔓ワンダーランド
友人達と芋ほりをしていると蔓がドンドン伸びており、それは畑の敷地を超えて隣のブロック塀の下に伸びていた。
感想
今回も現実と空想が入り混じった、不思議で心地よい世界が描かれていました。
その中でも今回は「いんちき日記術」が印象に残りました。
例えば通勤、通学の時に通る道でも気に留めなければその変化に気付けない事は多々ある様に思います。
ビルだった物が駐車場に変わり、食堂がコンビニに変わる。
変化していく中で確かに見ていた筈なのに、前に何があったのか思い出す事が出来ない。
ここって、いつの間にかチェーン店に変わったけど、その前はなんだったっけ。
自分の経験でも少なからずそんな思いをした事があります。
好きだった店が消え、更地に変わったのを見た時には少し寂しく感じたのを思い出しました。
まとめ
グヤバノではありませんが、一度だけ訪れた南の島で食べたスターフルーツという果物を思い出しました。
切ると星の形になる触感はリンゴの様なとても酸っぱいフルーツで、食べると口の中がサッパリしたのを思い出します。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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こちらの作品は白泉社の公式サイトで試し読みする事が可能です。