おむすびの転がる町 楽園コミックス
著:panpanya
出版社:白泉社
見慣れた日常に似た少し不思議な世界を考察するシリーズ、第六弾です。
各話あらすじ
ツチノコ発見せり
キノコ狩りの最中、期せずしてツチノコを見つけてしまった少女。
捕獲し換金の為に町役場に持ち込んだのだが、懸賞金を受け取るにはツチノコが本物だと証明が必要だと職員に言われてしまう。
筑波山観光不案内
商店街の福引で筑波山のツアー旅行券を手に入れた少女。
彼女はICチップを内蔵したその喋る旅行券(小脇に抱えるサイズ、テレビとかで商品として渡されるアレ)と共に筑波山へ向かった。
そこに坂があるから
下校途中、不意に脇道である坂の先が気になった少女。
布団に入ってもその事が頭から離れなかった彼女は、翌日、万全の準備を整え坂を上り始めた。
坩堝
ある日の学校、クラスメイトの男子がいそいそと何処かに向かっている。
友人の話では、要らないものを何でもお金と交換してくれる場所があるらしい。
ポケットを探るとティッシュとのど飴の包み紙が入っていた。
少女は真相を探るべく、男子たちの後をつける事にした。
街路樹の世界
都庁に売っている街路樹マップという地図。
それを元にした街路樹に対するエッセイ。
茫洋
職場体験で訪れた工場。
そこは鋼板からガードレールを作っている工場だった。
カステラ風蒸しケーキ物語
コンビニで売られていた新商品。
カステラ風蒸しケーキ。
蒸しケーキもカステラも好きだった少女は、取り敢えず購入したのだがそれは彼女の想像を超えた美味しさだった。
動物入門
気配も無く家に侵入する動物を描いた四コマ。
新しい土地
新しく郵便配達のバイトを始めた少女。
しかし配達先の多くが工事現場か空き地だった。
始めたばかりで辞めさせられたくない少女は、再配達の為、自転車に跨った。
架空の通学路について
通学路で出会う様々な事柄についての考察。
おむすびの転がる町
ベンチで休憩中、少女はおむすびを追い掛ける少年を見た。
しばらくすると、少年はTUZURAと書かれた箱を抱え戻ってきた。
“本物のおむすびころりんだ…!”
少女は鼠の穴を探すべく、飲み切った空き缶をそっと坂道に置いた。
感想
今回は表題作「おむすびの転がる町」よりも「筑波山観光不案内」に多くページが割かれていました。
つくば市は日本の宇宙開発を担うJAXAの施設がある事から、イメージ的にとても好感を持っている場所の一つです。
今回は筑波山の方に焦点が当てられたので、街については深く掘り下げられる事はありませんでしたが、つくば宇宙センターについてのpanpanyaさん独自の空想と考察も読んでみたい気がします。
また、表題作のおむすびの転がる街では、街をビー玉を転がす玩具の様にして穴に導いていました。
坂道の角に置いたブロックがおむすびの方向を変え、ゴールまで導く。
実際にやったら迷惑そうですが、目にしたらおむすびをずっと追ってしまいそうです。
まとめ
今回も不思議で懐かしく温かい世界が描かれていました。
足を踏み入れた事のない道、中の見えない工場や建物。
子供の頃、探検と称して近所を散策した事を思い出しました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
作者のpanpanyaさんのサイトはこちら。
こちらの作品は白泉社の公式サイトで試し読みする事が可能です。