あおのたつき 4 ゼノンコミックスBD
著:安達智
出版社:コアミックス
新吉原京町二丁目、羅生門河岸の角、九郎助稲荷のその奥。
浮世と冥土の境となる場所に冥土の花街があるという。
今日もそこに道に迷った亡者が一人。
登場人物
微神(かすがのかみ)
江戸町一丁目、榎本稲荷(えのもといなり)の奥にある微神黒狐社(かすがのかみこくこしゃ)の祭神
頭と足先は白く体は黒の狐。
喜丸(きまる)
大門の傍ら、吉徳神社(よしとくじんじゃ)の奥にある淡神白狐社(あわいのかみびゃっこしゃ)の大宮司
浅黒い肌にタトゥーでドレッドヘアの男。
冥土の花街を守る廓番衆(くるわばんしゅう)の総頭。
鍵を失った楽丸(らくまる)に五大神に祈祷してもらい、新たな鍵を神具にして廓番を続けることを求める。
哀ゐ丸(いといまる)
京町一丁目、開運稲荷(かいうんいなり)の奥にある儚神白狐社(はかなむのかみびゃっこしゃ)の宮司
気の強そうな釣り目の少女。
楽丸の事を気に入っているようだ。
怒丸(いかりまる)
伏見町、明石稲荷(あかしいなり)の奥にある朧神白狐社(おぼろのかみびゃっこしゃ)の宮司
ギョロ目の少年。
稲穂を使い幻を見せる力を使う。
神具である鍵を失った楽丸に修験として小さな巻貝に化けた朧神を、ほかの貝殻の中から探すという試練を与えた。
冥土の花街には喜丸を総頭として哀ゐ丸、怒丸、恐丸(おそれまる)、楽丸と五人の宮司が廓番として存在し、街を守っている。
楽丸は彼らの中でも一番若輩。
朧神(おぼろのかみ)
朧神白狐社の祭神
赤い隈取のある五体の小狐。
壱ノ前、弐ノ前、参ノ前、肆ノ前、伍ノ前の五体で朧神。
怒丸の従者
上半身は黒髪ソバージュ覆面の女、下半身は牛の体の異形。
怒丸が作り出した幻だが、悩む楽丸に助言を与える。
あらすじ
店の若い衆(わかいし)、平次(へいじ)に惚れた遣手婆(やりてばば)のおかね。
楽丸の霊験の力で店の新造(客をまだ取った事のない女郎)八葉(やつは)の姿になったおかねは、彼に抱かれる事を望む。
そんな欲望を持ったおかねはその身を絡新婦(じょろうぐも)へと変えていた。
楽丸は神具である鍵を手に相対すも、おかねの持つ喧嘩煙管により鍵は砕かれてしまう。
一方、その頃、楽丸達の窮地を感じた薄神(うすいのかみ)は同じく冥土の鎮守社、微神黒狐社(かすがのかみこっこしゃ)の宮司、恐丸に助けを求めていた。
恐丸がおかねの部屋へと急ぐ中、現場ではおかねが廓の事を語っていた。
やがて八葉も客を取り、その部屋に平次は毎夜、油を足しに行く。
だが自分と逃げれば平次はずっと好きな女といられる。
どちらが幸せだ?
おかねは遊女だったあおに問う。
苦界で生きる事は奪われる事ばかりではなかったか?
望んだ者と一緒になれたか?
命運からそむく事を許されたか?
あおの脳裏に幼い頃に別れた姉弟の顔が浮かぶ。
だが、あおはおかねの問いには答えず平次に呼びかけ彼を起こした。
絡新婦となったおかねの姿を見た平次は化け物と悲鳴を上げる。
楽丸がおかねに掛けた霊験は、神具である鍵が壊れた事で失われていたのだった。
感想
今回は前巻から引き続き、遣手婆のおかねのエピソードから始まり、新たな鍵を神具とするため、楽丸とあおが廓番衆の社を尋ねる様子が描かれました。
これまで何とか事を穏便に収めてきたあおと楽丸でしたが、今回はあおにとっては初めて犠牲者を出す結果に終わりました。
思い人と添い遂げたい。根底にはそんな思いがあったのでしょうが、おかねの気持ちは身勝手で相手の事を考えないものでした。
彼女の気持ちは平次への愛では無く、ただ自らの欲望を満たすためだったんじゃないかな。
エピソードを読んでいてそんな事を考えました。
まとめ
次巻ではあおたちは廓番衆の総頭、喜丸の下へ向かう模様。
彼の出す試練がどんなものか、次も楽しみです。
この作品はマンガボックスにて一部無料でお読みいただけます。
作者の安達智さんのツイッターはこちら。
うすいのかみ白狐社さんのツイッターはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。