着たい服がある 3 モーニングKC
作:常喜寝太郎
出版社:講談社
カヤとの出会い、離れていた父との再会、そして母との和解。
着たい服を着た事で今まで穏やかだったマミの周辺は俄かに騒がしく動き始めました。
登場人物
ボス
小澤が就職したショップのオーナー
サングラスと髯の派手でロックなおじさん。
田中
マミが実習で訪れた介護老人ホームの利用者
詞を書いている物静かな女性。
他の利用者との交流は余りなく、部屋から出ずに一人過ごしている。
マスター
Bar moaoのマスター
カヤの想い人。
何気ない彼の言葉で、カヤはゴスロリ服を着る事を止めようとしていた。
あらすじ
カヤとロリータ服を着て出かけた帰り道。
偶然、小澤を見かけたマミは思い切って彼に声を掛けた。
そこでマミは小澤が服飾店に就職する事を聞かされる。
ショックを受けつつも店に向かうという彼に同行し、就職するというショップを訪れる。
その店は小澤がいつも着ている様な奇抜なファッションが並び、ロリータを着ているマミが目立たなくなる程だった。
就職したらバイヤーとして服の買い付けで国内、海外を飛び回るという小澤。
その店のボスにも認められ自分の道を進んでいく小澤に、マミはロリータを着ているだけの自分にカラッポさを感じてしまう。
その後、店を出たマミを小澤に送るようボスは指示する。
駅までの道を歩きながら小澤がバイトを辞める事、今は恋人や休みよりも服の仕事に集中したい事を聞かされる。
その言葉でマミは心が締め付けられるようだった。
ボスに呼ばれ店に戻った小澤と別れ、マミは一人電車に乗った。
しかし、思い直しもう一度、店に向かう。
迷いながら辿り着いた店にはもう小澤はいなかった。
呼び戻そうかと言うボスに断りを入れ、マミは一人原宿の街を歩いた。
別世界の人間に見えた小澤。
大学の友人、大好きな物を共有出来るカヤやみなよ。
彼らの様に同じバイト仲間という事以外、自分が小澤と共有できる物があるだろうか。
そもそも、何故小澤と仲良くしたいのか。
理由等無い事に改めて気付いたマミは、通行人に声を掛けられ自分が泣いていた事に気付いた。
鼻をすすりながら涙を拭う。
その拭った涙の粒を見て、小澤との思い出がマミの中に湧きあがる。
その時マミは、初めて自分は小澤を好きだったのだと認識できた。
感想
今回は告白する事無く失恋してしまったマミの涙から物語は始まりました。
その後、実習で訪れた老人ホームでの多くの出会いがマミの認識を変えていきます。
人は往々にして他者をカテゴライズして見てしまいます。
それは年齢や職種であったり趣味、嗜好であったり、一番大きいのは性別とか。
ですが人はそれぞれ別の人生を生きたオリジナルであり、同じ人は世界に一人しかいません。
大好きなトライガンで語られていた、相手が隣で息をして存在していると知る事、その事を不意に思い出しました。
まとめ
今回は終盤のカヤとマスターのシーンが印象に残りました。
クールなイメージのカヤが見せた表情はとても可愛らしく素敵に感じました。
こちらの作品はモーニング公式サイトで第一話が無料で閲覧いただけます。(20年3月現在)
作者の常喜寝太郎さんのアカウントはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。