着たい服がある 1 モーニングKC
作:常喜寝太郎
出版社:講談社
大学卒業後、小学校の教師になる事が決まっている小林マミには家族にも秘密にしている事がありました。
それは着たい服があるという事。
登場人物
小林マミ
大学四年生
黒髪ロングのスレンダーな長身の女性。
キリっとした顔立ちで周囲からは所謂カッコいい女性像を求められ、彼女もその姿でいる事で期待に応えようとしている。
小澤という男性との出会いがそんなマミを変えていく。
小澤
マミのバイト先のカフェの店員
黒髪でショートボブのスマートな男性。
私服がかなり奇抜。
しかし彼は周囲の目を気にする事無く、背筋を伸ばし颯爽と街を闊歩する。
みなよ
駅のホームで出会ったロリータ服の女性
面白がって写真を撮られそうになっていた所をマミが助けた。
武下
マミが教育実習で訪れたクラスの男子生徒
共同作業や同じである事を強要される学校という場所に馴染めず孤立している。
だが、ひとりでコツコツやる事や誰もやらない花の世話をするなど一人で行う事は得意のようだ。
あらすじ
長い黒髪、高身長、スレンダーな体、キリっとした顔立ち。
その外見が世の多くの人が持つ、所謂カッコいい女性像にマッチしている女性、小林マミは周囲の期待通りの自分を演じ、本当にやりたい事はクローゼットの奥にしまい込んでいた。
家族が見る自分、友人の持つイメージ、バイト先での言葉。
周りに合わせ生きて来たマミだったが、ある日、バイトのヘルプで来た小澤という男性の私服を見て愕然とする。
彼の私服はとても奇抜だったのだ。
思わず店を出た彼の後を追ったマミは、小澤が周囲の声を気にする事無く颯爽と街を歩き去っていく後ろ姿に憧れを抱いた。
帰宅後、高校の卒業式の日に買い、ずっとクローゼットに隠していた服を身に着けた。
「ロリータ」フリルとリボンで彩られたフランス、ロココ時代のファッションをモチーフにした可愛さを追求した服。
マミがずっとなりたかったのは、カッコいい女性では無く、可愛い女の子だった。
感想
この作品はロリータファッションを題材にしていますが、大きなテーマは周囲の声、誹謗中傷によって変えられそうになる生き方について描かれていると思います。
誰かが奇抜な服や髪型をしていたら、世間では普通じゃないと揶揄や嘲笑のネタになる事が多い気がします。
ですが彼らがその事で他者に迷惑を掛けているのでしょうか?
人と違う事をする事をこの国では特に嫌う風潮がある様に思います。
それは作中でも描かれた学校教育が大きく影響している気がします。
統一された規格、恐らくそれは権力者や国が管理しやすい人々を求めているからでは無いかと考えます。
はみ出す者は社会の敵、だから嘲笑い除け者にしても構わない。
でも何を着るとかは歴史の中で、何となくであったりとかで誰かが決めたルールではないでしょうか。(その方が効率がいいというのはあるとおもいますが)
服ぐらいどんな物を着ていてもいい。
オフィスでもスーツじゃ無くて、アロハでもTシャツでもタンクトップでもいい。
好きな服を着る、その方が楽しそうだと思うんですけどねぇ……。
ロリータは色々引っ掛かって仕事に支障は出そうですが。
あっ、別にスーツが嫌いな訳じゃ無いです。
むしろシュッとした男性のスーツ姿とか、女性のパンツスーツとかは大好きです。
まとめ
本当は可愛い恰好がしたいけど、周囲の目を恐れ出来ないでいた女性が一歩踏み出し歩いて行くお話です。
作中登場する小学生の武下君にはとてもシンパシーを感じました。
こちらの作品はモーニング公式サイトで第一話が無料で閲覧いただけます。(20年3月現在)
作者の常喜寝太郎さんのアカウントはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。