狼の子ソラは戦場にいる 1 バンチコミックス
著:酉村
出版社:新潮社
人間と魔族が争う世界、狼の獣人ディルは人間の子ソラを連れて部隊の仲間と共に銃弾の飛び交うジャングルで任務に当たっています。
敵である人の子を守り育てながら戦う、特殊作戦部隊のお話です。
登場人物
ディル
クロス中隊 第三小隊隊長 中尉
対人類連合軍の特殊作戦部隊であるサイリス大隊のクロス中隊、第三小隊隊長。
狼の獣人であり体力、知力に優れる。
左耳が欠けている為、左側の聴力が弱い。
小隊は拠点制圧、侵入破壊工作等、様々な作戦を担う。
ソラ
デイルが戦場で拾った少女
第三小隊と共に戦場を移動し暮らしている人間の少女。
自身をオオカミのこどもと名乗り、デイルを家族として慕っている。
隊の獣人達によく懐いており、獣人達も彼女を可愛がっているようだ。
クーク
第三小隊所属の兵士
兎の獣人、作中の描写から衛生兵的な立ち位置かと思われる。
ソラと仲間を守る為、身を隠していた地下室で交戦。
敵を打倒すも右目に銃弾を浴びて戦死した。
カレンデュラ
隊付き軍医
角と尻尾を持つ魔族の医者。
継ぎ接ぎだらけの体はとある闇医者を想像させる。
テッド
第三小隊所属の軍曹
ゴーグルがトレードマークのハイエナの獣人。
面倒見のいい下士官。
ブラン
第三小隊所属の一等軍曹
ディルより古参の兎の獣人
兎の獣人だけあって聴力に優れ、視界が悪い戦場では彼の耳が大いに活躍する。
火器の扱いに精通し、殆どの武器の操作・整備が可能。
だが小柄な為、大型火器の運用は出来ない。
レティクル
第三小隊所属の狙撃手
鳥の種族のスナイパーの女性。
その視力と特性でスコープを使用する事無く遠距離狙撃が可能。
あらすじ
魔族の国「レント王国」と人間の国「ブレスト帝国」
二つの国の戦争が隣国を巻き込み、魔族と人の戦争に発展した世界。
そもそもの発端は一人の少女が、レント王国の森で食い殺されるという事件だった。
少女が一般人なら凄惨な殺人事件として処理されただろう。
だが少女はブレスト帝国の王女だった。
皇帝は報復としてその森で生きる獣人を皆殺しにしてしまう。
魔族と人間の対立は激化し、周辺諸国を巻き込んだ大戦へと進んでいった。
そんな戦争が始まって八年目のある日、魔族の兵士ディルは森の中で死んだ同胞の胸に抱かれ眠る子供を発見する。
子供の名はソラ。人間の幼い女の子だった。
ディルは少女を隊で保護した。
そして現在、狼の耳の付いたフードを被り、ソラは今日も部隊と共に戦場で暮らしている。
感想
人間と魔族の戦いというとファンタジーな世界観を想像しますが、この作品は身体能力の高い獣人の部隊と科学力に優れた人間との銃火器を用いた戦争を描いた物となっています。
舞台はエンドルフ大陸という南北を海で分断された大陸。
その内海の島、イリス島。
島は元は対人類連合の支配地域でしたが、帝国が侵入。
現在は島を奪還すべく南部に陣地を固め作戦を進めているようです。
一巻の装備、戦場を見る限りベトナム戦争がモチーフとなっているのかなと思います。
一人の少女の死から始まった戦争は、長い戦いの中で個別の憎しみ悲しみを生み、一兵士にも戦う理由を与えている様に思いました。
隣で戦っていた戦友が死ねば、人の感情として報復を考える。
それが負の連鎖として繋がっていく。
戦争をテーマにした作品を観ると毎回それを強く感じます。
まとめ
ディルはソラを大切に思っていますが、ソラは完全な非戦闘員であり、戦場においては足枷以外の何物でもありません。
いがみ合う魔族と人間、そして戦場という極限状態。
獣人ディルと人の子ソラの今後がとても気になります。
こちらの作品はコミックバンチwebにて一部無料で閲覧いただけます。
作者の酉村さんのTwitterアカウントはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。