傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン 2 バンチコミックス
著:磯見仁月
出版社:新潮社
パリに出たマリーはパリ一番と評判のお針子マリー・ジャンヌ・べキューのドレスを仕立てます。
そのドレスを着たべキューは見事デュ・バリー子爵の心を掴み、彼に身請けされる事になりました。
その事は高級店トレ・ガランの経営者パジェルの耳にも届きます。
登場人物紹介
パジェル(マリー・カサリーヌ・ぺクルール)
仕立て屋「トレ・ガラン」の経営者(ポセスール)
お針子から高級店の経営者にまでなった女傑。
作中では東洋的な衣服を身に着ける壮年の女性。
物腰は柔らかだがマリーを鍛える様に仕事を振る。
ルイ・フィリップ二世ジョセフ
シャルトル公爵
フランス有数の大富豪であり、現王家の政敵。
金髪ロン毛の優男でかなりな浮気性。
平等主義を口にしながら、王族という地位で他者に圧力を掛ける。
マリー曰くゲス野郎。
ルイーズ・アデライード・ド・ブルボン・パンティエーブル
大貴族パンティエーブル家の娘
ジョセフのフィアンセ。
痩せた体とそばかすの残る顔にコンプレックスを持つ少女。
家名を守る為ジョセフとの縁談を受けた。
その事への後ろめたさと自身への低評価が原因で、ジョセフの奔放な行いを受け入れている。
あらすじ
べキューのドレスを成功させた事で、マリーは高級店「トレ・ガラン」で働き始めた。
それから二年後、経営者パジェルの指導もあり、マリーは針子に指示を出しパジェルがいない時は店の留守を預かる程になっていた。
そんなマリーにパジェルは次なる難題を与える。
お題は王族に連なる大貴族パンティエーブル家令嬢の花嫁衣裳。
花婿はシャルトル公爵、こちらも王家の分家、オルレアン家の人間だ。
大貴族の結婚式。
失敗は許されないが成功すればモード商(ファッション・デザイナー)として飛躍する切っ掛けになる。
パジェルはマリーにそう語った。
パジェル程の成功を収めても同業組合の認可は下りず、未だ社会は男性中心だ。
しかし彼女は自由な時代の足音を感じ、マリーにその先駆けに成ってもらいたいと考えているようだった。
貴女の全てをぶつけて頂戴。できるわね。
そう言ったパジェルに「できます」とマリーは即答した。
感想
今回マリーは絶大な権力と財力を併せ持つシャルトル公爵(金髪ゲス野郎)に言いよられ、それを突っ撥ねた事で材料買い占めという嫌がらせを受けます。
このシャルトル公爵はこの作品では平等主義者を自称しつつ、王族である事を利用し民間業者に圧力を掛けます。
また、ルイーズへの愛を語りながらも、その舌の根の乾かぬ内にマリーに言い寄ります。
正直、ちょっとデレたぐらいじゃ許さないんだからね、といった印象の人物でした。
本格的に調べた訳ではありませんが結婚後も公爵の女癖の悪さは変わらず、ルイーズの結婚生活は余り幸せとは呼べない物だったようです。
西洋でも東洋でも位の高い女性は政略結婚の道具とされ、結婚は同盟の証という側面が強かった印象を受けます。
不幸だったというルイーズ。
ただ、この作品で描かれたルイーズの花嫁衣裳姿は、とても美しく気高い印象を受けました。
まとめ
今回は大貴族パンティエーブル家の令嬢ルイーズの花嫁衣裳作りがメインで描かれました。
次巻では、いよいよマリア・アントニア(マリー・アントワネット)がパリに来るみたいです。
一巻でもその自由奔放様子が少し描かれましたが、彼女とマリーがどのように出会うのか読むのが楽しみです。
こちらの作品はコミックバンチwebにて一部無料で閲覧いただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。