メタモルフォーゼの縁側 4
著:鶴谷香央理
出版社:角川書店
五月のコミティアに向けて漫画を描き始めたうらら。
悩み迷いながらも彼女は本を形にしていきます。
一方、雪もそんな彼女を後押ししていきます。
あらすじ
雪を誘いコミティアに出ようと決めたうららだったが、自分が描く物に自信が持てず制作は滞り気味だった。
元来、自分を主張する事の苦手なうららは将来の事や漫画の事、そして自分と他者との違いに疲れ創作への意欲を失い掛けていた。
そんな時、雪に連れられ彼女の知り合いの印刷屋さんを紹介される。
コピーしてホッチキスで閉じて作ろうと思っていたうららは、印刷製本というハードルの高さに気後れしてしまう。
更に費用はプレゼントするという雪の提案にも、それは悪いと慌てる。
その後、電話で雪が席を外した際に印刷屋さんの老人が言った、雪の様子や綺麗だというオフセット印刷の事、そしてそこで見た誰かの作品がうららの気持ちを決めた。
うららは印刷屋さんの締め切りまでに原稿をあげる事を目標に、母には悪いと思いつつ予備校を休み雪の家で漫画を描き続けた。
出来上がった原稿を印刷屋さんに手渡した帰り道、雪の家で漫画を描いている時の会話が蘇る。
漫画描くの楽しい?
あんまり 楽しくはないです。
その時はそう答えたうららだったが、やり終えた今、彼女は楽しかったと素直に思えた。
感想
今回、うららと雪は出来上がった本を携えコミティアに参加しました。
うららが自分の本の奥付を見たシーンは、読んでいてとても感動しました。
どうしてこんなにグッと来るのか、最初に読んだ時はよく分かりませんでした。
ですが、何度も読み返している内に理由が分かった気がします。
多分、あの同人誌はうららの創作の日々を形にした物だと無意識に気付いていたからだと思います。
雪との出会いから自分で描き始め、そして一本描き終えるまで、迷いや葛藤、不安と達成感。
様々な物が集まって出来ている。
それを物語を読む過程でうららと一緒に感じたから、言葉に出来ない気持ちになったのではないかなと思います。
まとめ
今回はイベント始まりまでが描かれました。
うららは高校三年生。
受験を控えた彼女がどういった道を選ぶのか、次が楽しみです。
お読みいただき、ありがとうございました。
こちらの作品はコミックNewtypeでも一部無料でお読みいただけます。
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