クマ撃ちの女 2 BUNCHコミックス
作:安島薮太
出版社:新潮社
カズキを囮にする形で熊を狩ったチアキ。
この巻では彼女が人を犠牲にしてまで熊を狙う理由が語られます。
登場人物
松本
カズキが取材を申し込んだ男
猟を完全に趣味として楽しんでいる中年のおじさん。
裕福な人間の娯楽的な感覚なので、装備や車も充実している。
チアキの姉
昔は彼女も狩猟をしていたが、ある事が切っ掛けで引退した。
経験の少ないチアキが他人を連れて危険なヒグマ猟を行う事に激怒する。
あらすじ
何とかヒグマを仕留めたチアキに、カズキは泣きながら謝罪される。
肩を掴み迫るチアキに少し狼狽えながら、カズキは大丈夫と返した。
その後、チアキは取り落とした弾を回収し熊の解体を始めた。
帰ってからのビールを想像しながら作業を進める二人。
その中で再度謝罪を口にしたチアキに、カズキは彼女の判断が無けばどうなっていたか尋ねた。
チアキの答えは最悪二人ともお肉という物だった。
それを聞いてだったら謝らなくていいとカズキは返す。
元々、危険を承知で同行取材を申し込んだのだ。
それよりカズキは今日の出来事、ヒグマに襲われそれをハンターが撃つという貴重な体験に興奮していた。
その事に対してカズキが感謝の言葉を口にした事でチアキは少し照れた。
その後、解体した肉をカズキと二人運搬作業を行っている間に肉は狐に取られてしまった。
肉を取られ気が抜けた為か、チアキはそれまで押さえ込んでいた物が噴き出し体調を崩してしまう。
カズキはそんな彼女をつれて車まで帰り、慣れない運転で彼女を家まで送った。
チアキの体調が戻るまで暇になってしまったカズキは、更に狩猟の事が知りたいと紹介された松本という男の猟に同行した。
彼の猟のやり方は流し猟、車で森の中を走りながら見つけた獲物を車から降りて撃つという物だった。
程なく獲物は見つかり、松本はカズキに車を走らさせ囮にして鹿を仕留めた。
獲物は車のウィンチとクレーンを使い荷台に運ばれる。
放血した鹿を処理場に運び今回の猟は終わった。
なんて楽なんだ!!
チアキの猟とのあまりの違いにカズキは愕然とするのだった。
感想
今回はチアキの姉の登場、カズキを危険にさらした事で山が怖くなったチアキ、そしてチアキと姉の過去が描かれました。
カズキは命がけでチアキが熊を仕留めた事で、狩猟という行為に少し魅了されている様に感じました。
それは危機的状況の中で行動し生き延びる事への充足感の様に思いました。
また、この巻の終盤に収録されていたエピソードを読むと、カズキ達も一つ間違えば死んでいたのだとよく分かります。
昔、熊嵐という小説を読んで熊コエ―と思いましたが、小説では無く漫画で読むと絵の力でより一層絶望的な状況だという事が分かります。
まとめ
今回、チアキが山を怖くなったのは他者の命を預かる事の意味を、頭で無く本能で理解したからでは無いでしょうか。
他者の命に責任を持つのは、やはり重責だなぁと改めて感じました。
こちらの作品はくらげバンチにて一部無料で閲覧いただけます。
作者の安島薮太さんのアカウントはこちら。
お読みいただき、ありがとうございました。