猫が西向きゃ 2 アフタヌーンKC
著:漆原友紀
出版社:講談社
ヒロタフロー株式会社。
空間の浮動化現象フロー。
それが引き起こす様々な現象に対処する事がお仕事の会社。
そこで働く二人と一匹の日々を描いた作品です。
各話あらすじ
#7 The tail is out.
ある日、ヒロタはコインランドリーで根津という老婦人と出会う。
彼女は家の物干し台が急に無くなったという。
フローでは無いかと考えたヒロタは、老婦人に声を掛け彼女の家を訪ねた。
二階建てのその家の上、家の横の金属の階段から伸びる先。
物干し台はバッサリと切り取られた様に無くなっていた。
#8 The tail can go anywhere.
建物と建物の間に出来た路地。
そこに入り込んだ人達は取り込まれる事も無く、同じ時間軸の中で行きたかった場所へ出現していた。
ただ一人、女子中学生の希歩(きほ)をのぞいて。
#9 Is tail a ghost…?
夏のある日、テレビで心霊特集を見てしまったヒロタ。
彼はその日の帰り道、行きつけのラーメン屋へ向かう道の歩道橋の上に白い服の少年が立っているのを見かける。
その少年はヒロタが見ている前で夕闇に溶ける様にユラリと消えた。
#10 The tail is restored…?
フローによって12才に戻ってしまった智万(ちま)。
彼女は現状に不満を抱いていた。
実年齢は35才、当然お酒も飲めるし、お洒落なカフェで一人お茶を楽しむ事も出来る。
だが、その全てが見た目によって好奇の目に曝されていた。
これでは男性と付き合う等夢のまた夢だ。
友人達とそんな事へ愚痴を言いつつしこたま飲んだ翌日。
彼女の体は二十歳の頃の自分に変わっていた。
#11 The tail is on the stairs.
元々階段の多かった住宅街の一画。
その階段がフローの起こした隆起によって更に急になり、住民達はその事でかなり困窮していた。
住宅街には車は入れず、移動は徒歩。
今まではまだ緩い階段だったので何とかなっていたが、こう急だと上り下りだけでヘトヘトになってしまう。
解決を依頼されたヒロタ達は原因を探るべく調査を開始した。
#12 The tail is beyond the snow.
冬のある日。
雪深い山中の町で、ある一画に季節外れの蛍の群れが現れた。
文句を言いつつ調査に出かけたヒロタは、その一画だけ季節が夏になっている事に気付く。
町役場の職員川田と話すヒロタ達に一人の男性が声を掛ける。
男性は大増水により被害を受けた川で、蛍の保護活動をしていた深見という人物だった。
感想
今回、ちまは二十歳前後の姿に一時変わります。
作中のフローという現象は多分に人の心が影響しています。
ちまが子供の姿になったのは、仕事一筋で三十五歳まで生きてきた事への迷いがあったのかなと読んでいて思いました。
もし今の経験、知識を持ったまま子供に戻れるなら。
色々あった失敗をやり直し、誰にも迷惑を掛けないよう生き直してみたい。
そんな風にごくたまに考えたりしますがそう思えるのもその失敗があったからだしなぁと、結局、選んだ道があって自分になったのだから仕方ないかという結論に落ち着きます。
何にしても、もっかいやり直すの面倒そうですしね。
(多分、今の感覚だと小学生のパワーにはついて行けない……)
まとめ
この作品は夏のイメージが強いですが、今回は雪の山中が描かれました。
雪の降る中、舞う蛍。
あり得ない光景ですが、多分実際にあったらとても美しいと思います。
この作品はコミックDAYSにて一部無料で閲覧いただけます。
作者の漆原友紀さんのofficialアカウントはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。