小説 小説短編

金沢古妖具屋くらがり堂

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町並み金沢古妖具屋くらがり堂 ポプラ文庫ピュアフル
著:峰守ひろかず
画:鳥羽雨
出版社:ポプラ社

高校一年生の葛城汀一(かつらぎ ていいち)は両親の海外赴任を期に祖父母の家のある金沢へやってきます。
これから住む街を知ろうと散策をしている最中、彼は和風のカフェを見つけます。

中に入ろうか店内を探っていた汀一は、隣の店先においてあった壺を割ってしまい……。

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登場人物

葛城一(かつらぎ ていいち)
高校一年生
人懐っこく陽気な少年。
両親の海外赴任に伴い祖父母の家のある金沢へ引っ越した。
両親の仕事の関係で転校が多かった為、人との距離感の取り方を少し気にしている。

濡神時雨(ぬれがみ しぐれ)
高校一年生(妖怪)
すらりとした痩身の美少年。
その見た目と態度で人を拒絶していたが、グイグイくる汀一に戸惑いながらも対応している。
ぶっきらぼうで辛辣な物言いだが、本来は純粋で心優しい少年。
男性としては長髪で左目が前髪で隠れている。

向井崎亜香里(むかいざき あかり)
高校一年生(妖怪)
ショートボブの髪の上品で清楚な雰囲気の女の子。
陽気な性格で物怖じしない。
カフェつくもでアルバイトしている。

瀬戸(せと)
五十代半ばの男性(妖怪)
眼鏡を掛けた物腰の柔らかな壮年の男性。
古道具屋『蔵借堂(くらがりどう)』のオーナー兼カフェ『つくも』のマスター
妖怪の居場所を作ろうと蔵借堂を作った。

北四方木蒼十郎(きたよもぎ そうじゅうろう)
蔵借堂の従業員(妖怪)
三十前後の男性。
身長百九十センチ近い長身でしなやかな肉体を持つ浅黒い肌の男。
彫が深い顔と肩にはタトゥー。
店では古道具の修理を担当している。
客の少ない蔵借堂がやって行けているのは、彼の働きによる所が大きい。

冒頭あらすじ

壺を割った音が鳴り響き店から痩身の少年が顔を出す。
冷たい口調で壺を割ったのは汀一か聞く少年。

彼と話していると騒ぎを聞きつけ、隣のカフェから件の店員と壮年の男性が顔を見せる。

男性は割れた壺と汀一たちを見て何が起こったか察したようだ。
その後も続いた少年の追求に、壺を割ってしまったのはカフェの店員の姿に見とれていた為だったが、それを正直に話すのもばつが悪いと感じた汀一は店先に張られたバイト募集の張り紙を見て、話を聞きに来た事にした。

壮年の男性、経営者の瀬戸は汀一がバイトを希望していると聞き、働いてくれるなら壺は弁償しなくていいと話す。

苦し紛れに言ったバイトについてだが、祖父母の家で厄介になる以上小遣いぐらいは自分でどうにかしたいと思ったいた汀一は、濡神時雨と名乗った少年の冷たい視線に耐えつつも家族と相談して決めたいと答えた。

後日、祖父母の許しを得た汀一はその店古道具屋蔵借堂へ向かった。
その入り口で北四方木蒼十郎と名乗る偉丈夫と出会う。
店員だと名乗った北四方木は汀一が新しいバイトだと聞くと、店番を任せると言って汀一一人を残し足早に店を出てしまった。

何も分からないまま店に残された汀一は、せめてどんな品物が売られているのか確認しようと店を見て回る。
店内には様々な道具が置かれており、品には値札がつけてあった。

その中にたまに値札の書かれていない物が混じっている。
その一つ、壁に鎖で磔にされた草刈り鎌に疑問を持った汀一は、鎖を外し鎌を手に取る。

なぜ古びた草刈り鎌をと訝しく思う汀一の手の中で、鎌はブルリと震えると蛇の様に動き彼の手に切りつけた。

感想

古道具というと付喪神を思い出しますが、登場する妖怪たちは道具にまつわる逸話を持つ者達という位置づけです。
(付喪神は古い道具が年を経て意思を持ったモノと認識しています)

以前読んだ六道先生の時にも感じましたが、有名な妖怪にはきちんとした話があるものと漠然と思っていました。
ですが実際は見た目が特徴的な為に有名になったモノもいて、詳しい設定は為されていないというのがとても意外でした。

元々妖怪自体が闇の深かった昔、正体不明のモノに形を為そうした人の恐れの現れでは無いかと思っています。
有名な鵺も声しか分からない正体不明のモノだったと記憶しています。

多くの人々が妖怪を愛しそれに形を与えた事で、闇の消えた現代においても妖怪は人の心に息づき生まれている様に思います。

まとめ

今回の主役の一人、濡神時雨は年若き妖怪です。
自身が妖怪という事で人間との関りを避けてきた彼ですが、読んでいくと、とてもピュアで優しい事が読み取れます。

人懐っこい汀一と表面上はクールな時雨のやり取りは、読んでいてとても微笑ましく感じました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

作者の峰守ひろかずさんのアカウントはこちら

※イメージは ぱくたそ の 大川竜弥さん による画像です
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