ゴブリンスレイヤー
著:蝸牛くも
画:神無月登
出版社: SBクリエイティブ GA文庫
辺境のギルドいるおかしな冒険者、ゴブリン退治だけで銀等級までランクをあげた、ゴブリンスレイヤー呼ばれる男の物語。
冒頭部分 あらすじ
辺境の冒険者ギルド、そこに一人の神官が訪れる。
彼女は孤児として神殿で育ち、十五歳の誕生日、冒険者として生きて行こうと決めた。
受付で登録を済ませると、白磁の認証票を受け取る。
これには名前や能力等が記されている。
身分証明としても使えるが、遺体が判別できないほど損傷していた時の身元の確認に使われる。
ギルドで声をかけてきたのは、同じく駆け出しのパーティだった。
剣士の少年、武闘家と魔術師の少女の三人だった。
彼らはゴブリン退治の仕事を受けたいらしく、もう一人、人手が欲しい様だ。
女神官はパーティを組むことを了承した。
リーダー格の戦士が出かけようとするのを見て、受付嬢が声をかける。
四人でですか?と彼女は問い、もう少しで他の冒険者の方も見えられますがと続けた。
しかし剣士の少年はゴブリンなんて四人で十分と快活に笑った。
女神官は受付嬢の微妙な表情が心に残った。
どうしてこうなったのだろう。
女神官は考える、洞窟に入った時は全員簡単に考えていた。
ゴブリンが待ち伏せをするなど思いもしない。
最初に魔術師が杖を奪われ、腹をナイフで刺された。
群がるゴブリンを追い払い、魔術師に癒しの奇跡を施した。
刺された傷が癒えていく。
次に剣士の少年が剣の長さが仇となり殺された。
武闘家は女神官に魔術師を連れて逃げるよう言い、ゴブリンたちに躍りかかる。
何匹か倒した後、巨大なゴブリンが振り上げられた足を受け止める。
そのまま、洞窟の壁に叩き付けられた。
動けない武闘家にゴブリンが群がる。
衣服をはぎ取られ、ゴブリンに陵辱される。
その声を聞きながら、女神官は魔術師を支えて洞窟を走った。
ごめんなさい…ごめんなさい、何度も謝罪の言葉が口を突く。
裾が絡んで転げてしまう。慌てて魔術師に近寄ると、彼女は吐血した。
なぜ、癒しの奇跡は傷を治したはずなのに。
その時、女神官の左肩に激しい痛みがはしる。見ると矢が深く突き刺さっていた。
二匹のゴブリンが女神官に近づいてくる。
このまま自分は切り刻まれて殺されるのか、それともおぞましい行為をされるのか。あいるは両方か。
震えが止まらず、下半身が生暖かい液体で濡れる。
それを嗅ぎつけ嫌らしく笑うゴブリンの背後、闇の中に光が見えた。
そこにいたのは薄汚れた皮鎧を着た、鉄兜の男だった。
男は淡々とゴブリンを殺していく。
女神官はその異様な男に声をかけた。
「あなたは…?」
「小鬼を殺す者(ゴブリンスレイヤー)」
男はそう名乗った。
印象に残ったもの
・ゴブリンスレイヤーや彼のパーティメンバーは、一流ではありますが、勇者や英雄といった、ファンタジー世界における主役級の力(ラスボスや強力なドラゴンを討伐出来る)を持ってはいません。
そんな中で、知恵を巡らし自身の持てる力、全てを使って問題の解決に当たります
・作者の蝸牛くもさんがTRPG好きということもあり、随所にそれに対してのオマージュが見られます。
TRPGやファンタジーが好きで実際プレイしたり、リプレイ集等を読んだことのある方にはニヤリとする場面も多いと感じます。
・この物語の主人公、ゴブリンスレイヤーは幼少期の経験から人との接し方に少し難があります。
しかし、女神官や妖精射手、鉱人道士、蜥蜴僧侶との出会いが彼を少しづつ変えていきます。
感想
この作品は元々はWeb作品から生まれたお話です。
著者の蝸牛くもさんがTRPG好きということもあり、主人公たちは勇者、英雄というような規格外の存在ではありません。
彼らは一般の人間よりは、かなり強い部類にはいりますが、一人で何百もの敵を倒せるような超人ではありません。
自身の使える手を全て使い、策を考え敵を効率的に排除する。
搦め手の戦い方が、大好きだったリプレイ集を思い出させます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。