トライガン・マキシマム 14 YKコミックス
作:内藤泰弘
出版社:少年画報社
血界戦線の内藤泰弘さんの描くSFガンアクションです。
今回はナイブズの腹心レガートとの決着から、物語はスタートします。
#5 未来への切符 あらすじ
レガートとの戦いで彼を制したヴァッシュだったが、リヴィオを人質に取られ、レガートかリヴィオどちらを救うかの判断を迫られる。
ウルフウッドが命がけで守ったもの。
それを失う事に耐えられず、ヴァッシュは引き金を引いた。
そのことは不殺を誓ったヴァッシュの心に深い傷を刻み、彼は意識を失ってしまう。
一方、航宙艦隊はクロニカの敗退を目にし、一斉攻撃を決断する。
地上に降りたパンセは、メリル達と協力し、なんとかナイブズからプラントを切り離そうとするが、航宙艦隊は攻撃を敢行する。
しかしナイブズは発射された攻撃全てを、ゲートを展開し反射。
航宙艦隊に壊滅的な損害を与えた。
意識を失ったヴァッシュは、闇の中で死んだ人々と出会う。
完全な暗闇の中、ヴァッシュは自分の周りに浮かぶ光に気付く。
声が聞こえた。
『ヴァッシュ・ザ・スタンピードの戦いっていうのは
何一つ終わりにしないって足掻くことだから』
その声がヴァッシュに覚醒を促した。
目の前に羽根が見える。
軋む体を無理やり動かそうとする、ナイブズの雄たけびに反応してヴァッシュの体は、何かをつかむように起き上がっていた。
ナイブズは融合したプラント達の苦痛を感じ取っていた。
しかし、彼は止まる事はしなかった。
彼もまた、自ら決めた道を突き進む以外の道は選べなかった。
直接接続、目覚めたヴァッシュの提案は、融合体の巨大な意識野に直接飛び込むというものだった。
取り込まれ、意識が拡散してしまう可能性も高く、ひどく危険だが、航宙艦隊が倒れた今、他に方法は無いだろう。
ナイブズが残りのプラントを奪うため、攻撃を開始したタイミングでヴァッシュは、プラントに接続されたケーブルを首筋に押し付けた。
凄まじい衝撃が融合体とヴァッシュに走る。
ショックにより、ケーブルを手放したヴァッシュは、再度接続を試みる。
ナイブズもそれに気づき、阻止しようとするがヴァッシュと融合体は接続され、その巨体は分解を始めた。
だがナイブズはそれを許さず、彼も直接、融合体に触れ崩れる巨体を抑え込もうとした。
ナイブズはケーブルを切断し、人間に勝たせまいと足掻く。
融合体から舞い落ちる羽根の中、ヴァッシュは願う。
つながれ…
そして決めてくれ
俺は信じてる
150年歩いたんだ
頼むぜ もう一度 切符を
今回の見どころ
・ヴァッシュを見つけたメリルの独白
最終巻という事で、名シーンの連続ですが、一つあげるなら航宙艦隊が一斉攻撃を決定し、街の人を見捨てる決断をした後、ヴァッシュを見つけたメリルが、心の中でつぶやくシーンが心に残りました。
遥か上では何万人を見捨てる話をしていたのに、ヴァッシュは一人を殺したことで深く傷つき、それでもまだ銃を掲げ戦おうとしている。
メリルは涙を流し、一人で全部背負うことない、私達も一緒に戦っていると、銃を掲げた彼の手を握りしめます。
読むといつも泣いてしまうシーンの一つです。
感想
降り注ぐ羽根は人々の心を繋げました。
メリルに語るヴァッシュのセリフ。
大事なのは良いとか悪いとかじゃない
伝えること
伝わること
相手が
隣で
息をして存在していると
…知ることだ
どんな命にも歴史があり、思い出や大切にしているものがある筈です。
人は得てして自分の事で手一杯で、そのことを忘れそうになりますが、上記のセリフはそれを思い出させてくれます。
ヴァッシュの旅は終わりましたが、彼は今日もどこかで厄介ごとに首を突っ込み、混乱を拡大させつつも、事態を収束させ、相変わらず騒がしい日々を送っている気がします。
昔、何気なく第一巻を手に取った自分をべた褒めしたい。
この作品を生み出してくれた内藤さんと、関わった全ての人に感謝を。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。