二匹目の金魚 楽園コミックス
著:panpanya
出版社:白泉社
見慣れた日本の景色+不思議+考察という感じの漫画。
装丁に魅かれて購入したのですが、とても面白かったです。
各話あらすじ
メロディー
学校からの帰り道、夕方になると流れるメロディーがある。
どこから流れて来るのか分からないそれの出所を突き止めるべく、少女は音を頼りに捜索を始めた。
制御に関する考察
道を歩いていると信号機の下のボックスを弄っている人がいる。
友人に聞くとボックスは信号機の制御装置らしい。
作業している人に聞くと、友人の言葉は正しかった。
その後、ふと気になった街灯について尋ねると、夜になると明りが灯るのは街灯の上に明るさセンサーがあるかららしい。
疑う少女に実践すると言って友人は指笛を鳴らす。
現れた鳥がセンサーを体で覆うと確かに昼間なのに街灯が灯った。
かくれんぼの心得
かくれんぼで遊ぶ子供達。
一番に見つかってしまったが、少女はかくれんぼの能力による格差が無い所を気に入っていた。
冥利
友人と二人登校中、凍った動物を見かけた少女。
動物は異常寒波にやられたようだ。
可哀そうに思った彼女は動物をマンホールの蓋の上に置いた。
何故マンホールの上に?と尋ねる友人に少女は蓋が下水の熱で暖かい事を説明した。
季節の過ごし方
照りつける太陽で景色も揺らぐある夏の日。
ある事を閃いた少女は蝉の声を録音しておく事にした。
通学路のたしなみ
登校において彼女は三年間の通学で見出した事がある。
ニュースが株価を伝えると同時に家を出る。
これを起点にすれば全てがスムーズに進むのだ。
引き金
夏のある日、家で涼んでいると窓の外から焼き芋屋の声が聞こえた。
この暑いのにと呆れたが、待てよと彼女は考察を始めた。
小物入れの世界
ワンコが爪切りを探しているので、ここだろうと思って引き出しを開ける。
小物と書かれた引き出しの中には、使う物、使わない物が無秩序に詰め込まれていた。
担いだ縁起
神社でお守りを購入した少女。
しかし買った直後にそれをどぶに落としてしまう。
ショックを受ける少女に社務員は不良品であった事を詫びた。
お守りに不良品があるのか?と首を傾げる少女に、社務員は製造工程を見れば納得すると彼女をお守り工場に案内した。
今年を振り返って
大掃除の最中、荷物で隠れていた日めくりカレンダーを見つけた少女。
日付は二月で止まっている。
彼女は休憩がてら、今年何があったか思い出しつつめくろうとワンコに提案した。
知恵
学校のかるた大会で優勝し、大きなトロフィを貰った少女。
立派なのは良いのだがなんせ重い。
ひいひい言いながら帰路を歩いていると、リアカーを引いた男に声を掛けられた。
その男は半ば強引にリアカーを少女に押し付けると足早に立ち去った。
開発
何も無い土地に来た少女とワンコ。
どうこの土地を活用しようと頭をひねった二人は、取り敢えず放置されていた大きな鉄パイプを用い、電柱を立て電気を引く事にした。
遥かな手紙
ある日、窓の外を手紙が付いた風船が飛んでいた。
カラスに突かれそうになった風船を守ろうと、少女は手元にあった竹トンボを飛ばす。
しかし、カラスは追い払えたものの竹トンボは風船に当たり、結局割れてしまった。
責任を感じた少女は、風船をカラスに突かれてても大丈夫な様に改造して空に戻す事に決めた。
許可
ご自由にお取りくださいと書かれた箱の中に、みっちりと鳥が座っていた。
気になった少女はそっと鳥に手を伸ばした。
春の導き
暖かくなり出歩くのもおっくうでなくなってきたある夜。
コンビニ帰りに行列が出来ているのを見つけた。
何の行列か気になり並んでいる人に尋ねるも、ライバルが増えると言って教えてくれない。
少し考え、少女は最後尾に並ぶ事にした。
真偽
学校からの帰り道、電柱の上にチューリップが咲いているのを少女は見つける。
鳥が球根を運んだのかなと言った彼女に、友人は本物の訳ないと反論した。
シンプル・アニマル
最近シンプル・アニマルというのが流行っている。
世話をしなくてもいいペットらしく、餌はあるがあげなくてもよく、散歩もさせられるが別にしなくてもいいそうだ。
友人が飼い始めたので、少女もそれを購入する事にした。
二匹目の金魚
生き物係である少女はクラスで飼っている金魚の水槽を洗っていた。
その掃除の最中、バケツに退避させていた金魚がバケツから逃走してしまった。
海の閉じ方
バイトで入っている海の家。
今年は秋の訪れが早く、閑古鳥が鳴いている。
店長にその事を話すと今日で海閉じにしますかと彼は答えた。
彼が言うには海開きがある様に、海閉じというのもあるらしい。
店長は手始めとして海の家の片づけを始めた。
感想
幼い頃に感じた素朴な疑問。
その疑問を起点として膨らませた様な作品です。
不思議や空想、そしてノスタルジーを混ぜたお話の数々は、子供の頃の自分の頭の中を覗いている様な気分になりました。
目に入るもの全てが不思議で、どうやって動いているのか、仕組みはこうでは無いのか。
そんな事を考えていた事を思い出します。
勿論、考えていた仕組みは全然的外れでもっとちゃんとした仕組みで動いていたのですが、そうやって空想するのは楽しかったという事は憶えています。
まとめ
偶々、手に取った作品でしたがとても楽しく読む事が出来ました。
2020年の三月には新刊が出るそうなので、そちらも楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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こちらの作品は白泉社の公式サイトで試し読みする事が可能です。