ふたりソロキャンプ 11 イブニングKC
著:出端祐大
出版社:講談社
オートキャンプに出掛けた厳(げん)の友人、彰人(あきひと)。
彼は自分と同じ車種の車に乗っているある家族とキャンプ場で知り合う。
彰人はその家族の父親に声を掛け、初心者だというその男性に何かあったら声を掛けて下さいと話し、キャンプを開始した。
その後、テントの設営に苦戦する父親と彰人を比べ、がっかりした様子の彼の子供、スバルに一緒にやればいいとアドバイスを送ったりしながら、のんびりとキャンプを楽しんだ。
そして日が暮れ、焚火の準備も終わった頃、隣でキャンプしていた父親は焚火をつけるのに苦戦していた。
登場人物
スバル
彰人がキャンプ場で出会った子供
色黒で短髪の少女。
その見た目から彰人は男の子と思っていた。
準備に手間取る父親に不満を抱くが、本当は父親の事が大好き。
スバルの父
キャンプ初心者
黒髪で小柄な男性。
家族で楽しめればと知り合いからキャンプ道具を借り、キャンプに来たが不慣れな事で色々と準備に手間取る。
あらすじ
焚火が熾せず困った様子の父親に助けを求められた彰人は、家族にバレない様に彼をトイレへと誘った。
トイレで父親がどんな風にやろうとしていたか経緯を聞き、アドバイスをして着火剤を渡した。
彰人に礼をいい恐縮する父親に彼は先達者として一つだけ忠告をと、キャンパーとしての距離感について話始めた。
キャンプをするにあたって、当然だがそのその人で求める物が違う。
人との交流を求める者もいれば、一人、孤独を感じる為にキャンプに来ている人もいる。
だから、正しい距離を感じられるようになって下さい。
そう言って彰人は、自分はお節介焼きなのでつい余計な事をと自嘲気味に父親に話した。
そんな彰人に父親はそれは助けられる側も同じだと笑みを浮かべた。
「助けを求める側も必要以上に善意を求めるのも違う。周りの善意に慣れて甘えすぎるのも良くないですよね」
キャンプは完璧を追い求めるより、失敗も含めて多くを許容する心持が大事なのかもしれない。
そう言って彰人と別れた父親は焚火を起こす事に成功。
その後、料理人である父が作った料理を持って来たスバルに、彰人はキャンプ楽しいか? と尋ねた。
彼女は「うんっ!」と満面の笑みを浮かべ答えた。
感想
今回は彰人が出会った初心者キャンパーの家族の話から始まり、厳が考えるソロキャンプ場と雫(しずく)の初めてのキャンプ場選び、厳のキャンプ場選びの極意、燻製豚バラチャーシュー、ラーほ(ラーメンのほうとう)等が収録されました。
その中でも今回は冒頭、あらすじで書いた初心者キャンパーの父親の言葉が印象に残りました。
キャンプにおける距離感の話は、実生活やSNS等の交流においても同じ事が言えるように思います。
親しき中にも礼儀ありといいますが、仲がいいと思っていてもやはり線引きは必要で、過度に相手に期待をしたり何でもかんでも頼るのはやはり違うと思います。
彰人が前巻の作中で言っていた様に、取り敢えず自分で頑張ってみて、最後の頼みの綱ぐらいの感覚がお互いいいんじゃないかなとエピソードを読んでいて思いました。
まとめ
今回は一つのサイトに厳と雫がテントを張って夜景を楽しんだりと、なんかいい雰囲気でしたが、次巻は自転車ソロキャンパーの星崎(ほしざき)が厳に迫る様です。
どんな展開になるのか、読むのが楽しみです。
この作品はイブニング公式サイトにて第一話が無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。