まろうどエマノン
著:梶尾真治
画:鶴田謙二
出版社: 徳間書店
地球に生命が発生してから、現在までの事を全て記憶している少女・エマノンの物語
書き下ろし長編。
あらすじ1
一九六九年の夏、都会に住む少年、直樹は父が仕事でオーストラリアに行っている間、九州の田舎、御所船町に住む曾祖母の元に預けられた。
一度も会ったことのない曾祖母と、何週間も生活することは不安を感じたが、その頃化石に傾倒していた直樹は、父の化石が採れるという言葉に御所船町行を決めたのだった。
御所船町に着いた直樹は、魚屋のテレビで月面着陸のニュースを目にする。
興奮する周りの大人をしり目に、ふと店の表に目をやった直樹は背が高く髪の長い、白い服とジーンズを着た女性が店の前を横切るのを目撃する。
彼女の事が気になった直樹は、慌てて後を追うが女性の姿はどこにも無かった。
その後、曾祖母と会い彼女の家に向かった直樹は、道すがら曾祖母から龍骨台や恵比寿様や比丘尼の話を聞いた。
途中、恵比寿様の祠に寄った直樹は、中に安置されている二体の象のうち比丘尼の象が先ほど見た女性によく似ていることに驚いた。
曾祖母の話によれば、比丘尼は白比丘尼にと呼ばれ、なんでもとても長生きしたらしい。
祠のお供え物が無くなっているのを見て、曾祖母はましらの事も話してくれた。
時々畑を手伝ってくれるらしい。
お礼に曽祖父の服をあげたとも言っていた。
ましらとは何か聞く直樹に、曾祖母は「ましらはましらだ。髯だらけの」と答えた。
直樹はましらがどんなものか想像することが出来なかった。
あらすじ2
曾祖母の家に着いた直樹は、旅の疲れからか、いつの間にか眠っていた。
目覚めた直樹は夕食を食べ、彼女と共に夏祭りへ出かけた。
道の途中、双子の少年と出会った。
地元の小学生で健太と康太と言うらしい。
二人は曾祖母には挨拶したが、直樹の「こんにちは」には返事を返さなかった。
祭りには様々な屋台が出ていた。
直樹は父には買ってもらえなかった、アイスボンボンという風船の中に氷菓子が入った物を買ってもらい、食べながら屋台を見て回った。
そのうち曾祖母は近所の人たちと話し込んでしまったので、直樹は一人で神社に向かった。
神社についた直樹は社の横に何か白っぽいものを見た。
気になり奥に進むとそこには昼に見た髪の長い女性がいた。
なにか見てはいけない物を見てしまった気になった直樹は、何も言わず踵を返して神社を後にした。
あらすじ3
その日は朝から龍骨台に行くことにした。
一人で行くと曾祖母に言うと彼女は水筒と弁当を用意してくれた。
龍骨台への道すがら、夏祭りの時に会った健太と康太に道を塞がれた。
彼らは相撲して勝ったらここを通してやると言う。
直樹は喧嘩をしたことなど一度もない。
どうしようと悩んでいると、彼らは突然血相を変えて逃げ出した。
直樹が振り返るとそこには茂みが揺れているだけだった。
彼らが何に驚いたのかわからぬまま、直樹は龍骨台に向かった。
龍骨台は名前が示す通りの場所だった。
直樹の背丈を超える岩が地面から突き出して、一直線に並んでいる。
地面の中に埋まっている龍の背骨だけが突き出しているように見えた。
直樹は化石を探して龍骨台を歩いて回った。
黒い石を見つけ持参したハンマーで割ってみると中から貝殻の形の石が出てきた。
化石だ。
直樹は興奮してさらに化石を探した。
夢中になって探していると声を掛けられた。
「あまり、日向に長時間いると、日射病にかかるわよ。」
太い五葉松の木の下の岩の上に女性の姿があった。
彼女は「エマノン」と名乗った。
まとめ
九州の曾祖母の家に預けられた直樹は、エマノンと名乗る少女と出会います。
エマノンとましらとの出会い。
エマノンのことが気になる直樹は手助けを申し入れます。
その時は断られた直樹でしたが、その後ましらが怪我を負ったことにより、彼らの計画に協力することになります。
子供の頃、小学生の夏休み、淡い夢のような少年時代のひと夏の冒険譚です。