青野くんに触りたいから死にたい 6 アフタヌーンKC
著:椎名うみ
出版社:講談社
四つ首様に死んだ弟の蒼太(そうた)が生き返る事を望んだ大翔(ひろと)
その願いが聞き入れられたのか大翔の下に蒼太の霊が現れます。
最初は喜んだ大翔でしたが、蒼太に掛かりっきりの生活に疲れ優里(ゆうり)たちに現状を打ち明けました。
相談を受けて大翔の家に向かった優里達でしたが、目の前で大翔が見えないモノに引き摺られ彼の家に引き込まれてしまいます。
大翔を助けたい優里は青野と新たな契約を結ぶのですが……。
あらすじ
黒青野は大翔の家に入ろうとする優里を守りたい様だった。
優里はそれを逆手に取り自分を守りたいなら、大翔を助けてと黒青野に提案した。
黒青野はしばしの沈黙の後、それを受け入れる。
その後、優里はSNSの通話で美桜と状況を話し合う。
美桜は黒青野を陰陽師の使う式神の様だと評した。
式神は制御を離れれば呼び出した陰陽師を襲う。
十分気を付ける様に美桜は優里に注意を促し、続けて小学生達が呼び出した願いを叶えるという四つ首様について自分の考察を語る。
四つ首様が幽霊なのかそうでは無いのか。
美桜は当初、蒼太の霊が四つ首様だと考えていたが、話の中にあったその蒼太が遊んでいる「お友達」こそが四つ首様では無いのかと考え始めているようだ。
美桜の話を聞いた優里は「お友達」について黒青野に尋ねるが、彼の答えは全てを肯定し否定する意味の分からない物だった。
結局、四つ首様の正体について分からないまま、優里たちは大翔の家に足を踏み入れた。
家の中ではすぐに大翔と再会する事が出来た。
逃げようと言う藤本に大翔は泣きながら母親が倒れている事を伝える。
優里たちは大翔に頼んで家の中に青野を招き入れると、大翔の母親の元へ向かった。
母親は「お友達」に首を絞められ意識を失っていた。
焦りつつも藤本が携帯で助けを呼ぼうとするが繋がらない。
慌てる優里たちだったが、SNSの通話でつながっていた美桜経由で救急車を呼んでもらう事にするのだった。
感想
小学生の大翔、結菜(ゆいな)希美(のぞみ)の三人が儀式をした四つ首様。
それは古くから続く生贄の儀式がベースになっている様でした。
治水工事が未熟な昔。
当然ダム等ある筈も無く、農業用水は雨頼みでした。
雨は現在でも人がコントロール出来る物ではありません。
作中ではそれを雨乞いの儀式に求めた様です。
雨乞いには供物を捧げ水神の慈悲を乞う物と、水神の怒りを買い水害という形で雨を降らせる物の二種類あるそうです。
今回の物は後者らしく、水神が棲む清流を血で汚す事で雨を降らせようとした様でした。
美桜は雨乞いの生贄について家畜の首と言っていましたが、読んでいて殺されたのは家畜では無かったのではと感じました。
第一話を読んだ時はこういう方向にお話が進むとは思っていませんでした。
それが悪い訳では全く無く、古い因習とか好きなのでむしろウェルカムなのですが、強力な人の想いの集合体のような相手に余り言う事を聞いてくれない黒青野がどう対処するのか。
ハッピーエンドが好きな身としては不安が募ります。
まとめ
この作品では登場人物は殆どが霊能力等持っていない一般人です。
ですので巻き起こる不可思議な現象に対しては、翻弄されるばかりになってしまいます。
せめて黒青野がもう少し協力的なら安心できるのですが……。
(そういう存在だとは分かっているけど、もう少し融通が利いてもいいじゃないか)
この作品はpixivコミックにて一部無料で読む事が可能です。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。