師匠シリーズ 1 -師事- ヤングキングコミックス
漫画:片山愁
原作:ウニ
出版社:少年画報社
webで公開されているオカルト短編小説のコミカライズ版。
舞台は1990年代後半の中規模都市。
内容的には大学生のウニ(僕・俺)がオカルトに造詣の深い師匠に色々怖い思いをさせられるというモノ。
登場人物
ウニ
男子大学生
元々霊感があり、オカルトへの興味を持っていた。
大学の先輩である師匠に、様々なオカルト体験を経験させられる事になる。
師匠
ウニの大学の先輩
仏教美術を専攻している院生。
家賃九千円のボロアパートに住んでいる。
おんぼろ軽四所持。
京介
ショートカットのクールな女性
ウニとはネットのオフ会で知り合う。
あらすじ
大学に入学したウニは、元々霊感はあったが受験のストレスによるものかその時期、金縛りや何かを見るという事が頻発していた。
彼はサークルの新歓コンパで面白い話をしろと言われ、自身の体験談を語る。
それにより、サークルの仲間から引かれ孤立したウニだったが、一人の院生の先輩に気に入られた。
彼はウニの話を聞いてくれたが、周囲の学生たちから二人は完全に浮いていた。
その後、その先輩は面白い所に連れて行ってやると言って、ウニを車で連れ出した。
彼が向かった先はファミレス。
某有名チェーン店であるその店は、先輩の話では出るらしい。
席に着き、食事を取っていると先輩がウニに、合図をしたら俯けと言う。
なんでも、足だけなら見えるらしい。
唾を飲み込んだウニを耳鳴りが襲う。
頭を抱えた彼に先輩は俯けと指示を出した。
隣のテーブル席、影の様な女の足がウニには見えた。
店を出た後も、様々な心霊スポットに彼の車で引きずり回され、最後に辿り着いたのは山中にあるあぜ道だった。
日も落ち、虫の声しかしない山の中。
止まった車に向かって、道の向こうから誰かが歩いてくる。
通り過ぎた人に似たなにかについて、先輩に尋ねるとハンドルに腕を乗せた彼は「さあなあ」と事もなげに言う。
続けて、ここは霊道なんだよと話し始めた。
だが彼はこの言葉が好きではないらしい。
理由は道ならある筈の往来を見た事がないから。
行くモノは見ても、戻って来たモノは見た事がないという。
先輩は、道では無く穴だとそれを表現した。
穴。暗く深く、落ちれば二度と這い上がる事の出来ない穴。
そんな事を考えていると、先輩が見えたのは最後の奴だけかとウニに問い掛けた。
最後……という事は、その前にもいたのだ。
自分には見えない何かが……。
先輩が家の近くにウニを降ろしてくれた頃には、朝日が顔を覗かせていた。
その先輩、オカルト道の師匠と仰ぐ様になるその人と、ウニは様々な奇妙な体験をする事になる。
感想
ウニさん原作の人気オカルト小説のコミカライズ版です。
内容は主人公のウニが登場する話が中心に展開されていきます。
私が初めて読んだ師匠シリーズは「跳ぶ」でした。
夜の校舎の屋上、フェンスの無い場所で目を瞑り、声を頼りに跳躍する。
読んでいると永遠に落ち続ける浮遊感を感じた事を思い出します。
当時、ネットに存在している様々な作品を読みましたが、怪異の登場しないお話という事で、逆にとても印象に残った事を覚えています。
まとめ
漫画化される事で、モヤっとしていたキャラクター達の造詣が確立された気がします。
漫画を読んで以降、主人公のウニや師匠、キョウスケ達が原作を読んでもその姿で登場する様になりました。
これは、アニメ化された作品のキャラクターの声が、アニメを見た後はその声で再生される現象と同じだと思います。
ただ、途中で声が変わると変な感じになりますが……。
(大山のぶ代さんと水田わさびさんが混じるんですよね……)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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