吉原プラトニック 4 モーニングKC
漫画:オキモト・シュウ
企画・原案:藤川よつ葉
出版社:講談社
自分の思い通りに他者におもねる事なく生きている絵師、階残雪(きざはし ざんせつ)。
彼と家に縛られた自分を比べた大身旗本留守居役、大久保家(おおくぼけ)の嫡男、貞近(さだちか)。
彼は自分もやりたい事が出来ると筆おろしを任された花魁、紫太夫を勢いに任せ押し倒したのだが……。
登場人物
大黒屋
大店の主
黒髪のおじさん。
妻の喪が明け、後妻として紫太夫の身請けを角屋に申し出る。
あらすじ
紫太夫を押し倒し、ようやく事の成就が叶うかと思われたその時、許嫁の京極なつ(きょうごく なつ)が貞近を追って角屋を訪れた事で、二人が体を重ねる事はなかった。
その後、しょくらとを(チョコレート)を溶かした酒を飲み、なつが昏倒した事でその場はお開きとなった。
そんな事があった後、紫太夫は不意に気付く。
大久保家の当主である貞近の父の依頼は、生身の女人が苦手な息子の童貞を捨てさせる事。
つまり、貞近を男にすれば彼が妓楼を訪れる事は無くなる。
その事を寂しく思う紫太夫に、絵師で角屋で下働き中の階が告げる。
「あんた、惚れちまったね」
階の言葉が示す通り、紫太夫はいつの間にか初心で優しく、料理を通じて話の合う貞近の事を客としてではなく、一人の男として好きになっていた。
感想
生身の女性が苦手な若侍、大久保貞近と彼を男にする役目を担わされた花魁、紫太夫。
二人の料理を通しての交流を描いた作品もこの巻で完結。
最終巻であるこの巻では、料理好きと食道楽として触れ合っていた二人がお互いの気持ちに気付いたことが印象に残りました。
貞近には結婚を間近に控えた許嫁のなつ。
紫太夫には大金を積み身請けを申し出た大商人、黒田屋がいます。
思い合ってはいても、一緒になれない二人。
ラストはそんな二人が恐らく友人として、今後も長く付き合って行くんだろうなと思わせる、なんだか爽やかなものでした。
まとめ
大身旗本の跡取りと遊女。
最初は面と向かって話すことも出来なかった貞近でしたが、物語の終盤では紫太夫と見つめ合い、微笑みを交わすまでになっていました。
お金により偽りの恋が溢れる遊郭で、二人は確かに恋をしたんだな。
終盤のエピソードを読んでいてそんな事を思いました。
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