えびがわ町の妖怪カフェ 4 ヤングアニマルコミックス
著:上田信舟
出版社:白泉社
えびがわ町が主催する花火大会。
大会では一口千円で願い事を書いた紙を花火に貼り付け打ち上げるという企画を行っていました。
願い事は抽選で花火に合わせて読み上げて貰えるという物でした。
花火大会当日、まなの願い、おじちゃんの店にお客さんが沢山きますようにという願いは読み上げられ、まなは無邪気にはしゃぎます。
そんなまなに、佐吉は自分の本当の願いは死ぬ事だと口にしてしまいます。
登場人物
口裂け女
都市伝説で有名な女性
1979年ごろ社会問題を引き起こす程流行った都市伝説。
この作品ではそれより百年程前の女性が、自衛のために行った行動が起源となっている。
現在では声を掛けて来るしつこい男を脅かすのが趣味となっているようだ。
キクリヒメ
日本神話に登場する女神
伊弉諾尊(いざなぎ)と伊弉冉尊(いざなみ)の喧嘩において伊弉諾尊をとりなしたとされる。
本作では養老の滝近くの神社に祀られている。
その滝の水は名水として酒造りにも使われるようで、奉納された酒を飲むうちに飲めるようになった。
まなの父
三十代の男性
眼鏡を掛けた優しそうだが少し気弱そうな男性。
まなを親戚に預けると決めたのは彼らしい。
彼自身は怪異を見る事は出来ないが、まなの事を信じている。
その事で妻とは意見が食い違っている模様。
あらすじ
花火大会が終わり、死ぬ事が望みと言った言葉の意味を佐吉はまなに説明した。
彼の持っている櫛の持ち主は既に亡くなっており、会う為には天国に行くしかない。
先程は花火が余りに綺麗だったので、思わずそんな事を口走ってしまったと佐吉は語った。
死んだ人を探しているのかと問うまなに、佐吉は家族や親せきに櫛だけでも返したいと話した。
一応納得は出来たまなだったが衝撃は大きかったようで、その夜、雅太郎がもってきた線香花火で遊んだ事も影響し、花火の火が落ちると母親の命も尽きるという悪夢を見てしまう。
不安にかられ眠れなくなったまなは、佐吉のもとを訪れ隣の部屋で寝かせてもらった。
しかし、不安は去る事がなく眠れずにいた。
それを察した佐吉は、まなに茶わん蒸しを作った。
味付けしただしと玉子のみの茶わん蒸しは、暖かく優しかった。
少し落ち着いたまなは、佐吉におずおずと話し始める。
佐吉の願いが死ぬ事だと聞いた時、とても怖かった。
まなは佐吉の探している人探しも手伝うから、二度と言わないでほしいと彼に訴えた。
佐吉は悪かったとあやまり、二度と言わない事を約束した。
まなが差し出した小指に指を絡め指切りをすると、ようやく彼女は笑顔を見せた。
その後布団に入った佐吉は櫛を掲げながら、子供にまで嘘をついて、情けないと一人呟いた。
感想
今回はあらすじで書いたお話の他、口裂け女、キクリヒメ、ダムの底、まなの父、キャンプ等のエピソードが描かれました。
口裂け女が流行ったのはもう四十年以上も前の事ですが、未だに色んな作品に登場する人気キャラクターです。
今の様にSNSの無い時代に日本中で様々な噂が飛び交い、社会現象まで引き起こしたのですから、当時は大変なブームだったのでしょう。
キクリヒメについては日本神話にほんの少し登場するぐらいで、詳しい記述はないようです。
日本の神様がお酒好きなのは、神社に奉納する御神酒とかのイメージからでしょうか。
お酒を造るには米が豊作でなければならず、豊作のお礼として神様にお供えしたのかなと想像してしまいます。
まとめ
今回はまなの父親も登場し、現在のまなの家庭の状況が少し分かって来ました。
また、佐吉についてもまなが考えたように、恋人の面影を追っているという訳でも無さそうです。
この作品は白泉社公式サイトにて無料で試し読みが可能です。
作者の上田信舟さんのアカウントはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。