妻、小学生になる。 11 芳文社コミックス
作:村田椰融
出版社:芳文社
ある日突然、前世の記憶を取り戻し別人として生きるという、自分とよく似た状態を描いた小説「君と再び」。
その作者である出雲凛音(いずも りおん)のサイン会が予定通り開かれる事を娘の麻衣(まい)から聞いた貴恵(たかえ)/万理華(まりか)は彼に会いたいとサイン会への同行を求める。
貴恵はサイン会で凛音と会い自分が作品の登場人物と同じく、前世の記憶がある事を打ち明け、手紙を渡した……。
登場人物
田中(たなか)
麻衣の同僚
糸目猫口の女性。
貴恵とよく似た状態を描いた小説「君と再び」の作者、出雲のサイン会へ麻衣を誘う。
あらすじ
貴恵は手紙に自分の状態を記し、凛音からの連絡を待った。
彼に前世の記憶など無く、物語も彼の創作ならば連絡は来ないだろう。
だが、凛音は貴恵に連絡を入れて来た。
彼の行きつけの喫茶店で会う事になった貴恵は、そこで凛音が自分と同じく亡くなり、気が付けば中学生として新たな生を生きていた事を告白される。
彼は貴恵にこれまでの事を語った。
凛音の前世は教師であり、小説家を目指し作品を執筆していた。
しかしその夢は叶う事無く、彼は事故で他界。
そして気が付けば中学生の男の子として生活していた。
その状態に違和感を覚えず生活していたが、親や家族からは急に人が変わったと言われる事が多々あったらしい。
そんな時、図書室で見かけた小説を読んだ事で、前世の記憶が一気に蘇った。
教師だった前世の記憶を取り戻した凛音は、もう一度やり直せると喜んだものの、中学生以前の記憶を上手く思い出せなくなっている事に気付いた。
ただ、それも前世の記憶が一気にフラッシュバックした影響だろうと、小説家へ夢を再び追い、自分の経験をもとに「君と再び」を書きあげた。
「君と再び」がベストセラーとなり、小説家という夢を果たした瞬間、彼の記憶は飛び、映画の授賞式の時にも記憶は飛んだ。
凛音はその記憶が飛ぶ原因を未練が解消されたからだと貴恵に語った。
感想
今回は冒頭、サイン会での凛音との接触から始まり、凛音が辿り着いたこの状況への考察、万理華の人生を奪ってしまった貴恵の葛藤等が描かれました。
凛音の考察は前巻で圭介(けいすけ)が出会った住職と同じく、この状態が輪廻転生では無く憑依という物でした。
中学生の凛音はイジメにあっており、自らの肉体の放棄を考え、それに夢を叶えられなかった教師の魂が引き寄せられ、人格の入れ替わりが起きたというのが、凛音(教師)の考えでした。
万理華も当時、荒れる母親の千嘉(ちか)が原因で肉体の放棄を考えていて、そこに圭介達を思う貴恵の魂が入り込んだと話します。
凛音も貴恵も現世への未練により、他者の体に憑依してしまった。
だから、その未練が無くなれば憑依は解ける。
そんな凛音の考えを聞いた貴恵は、自分が万理華の人生を奪ってしまったと悩み苦しみます。
エピソードを読んでいて、自分だったらどうするだろうと想像してしまいました。
まとめ
貴恵が存在すると言う事は万理華という少女は消えてしまうと言う事。
二者択一じゃなくて、なんかこう、美味い具合に混じり合って両方存在出来ないのか。そんな事を考えてしまいました。
こちらの作品はピッコマでも一部無料で閲覧できます。
作者の村田椰融さんのTwitterはこちら。
お読みいただき、ありがとうございました。