水は海に向かって流れる 2 KCデラックス
著:多島列島
出版社:講談社
一つ屋根の下で暮らすOLの榊は、十年前、直達の父がW不倫をしていた女性の娘でした。
その事を偶然知ってしまった直達。
色々悩んでいた直達に榊は知らなかった事にしろと告げます。
しかし、直達はそーゆうのは嫌だと答えました。
あらすじ
榊は直達の父親と鉢合わせし、自分の保身を考え榊を疑う言動をした彼に思わずお盆をぶつけてしまう。
お盆はフリスビー的な感じに投げられ縁が父親の鼻に直撃した。
鼻から血を流す義兄に驚き、犯人である榊に詳細を尋ねる直達の叔父ニゲミチ。
しかし、直達の父も榊も詳しい事は何も言わずニゲミチと榊の間にはギスギスした空気が流れていた。
ニゲミチは不倫について詳しくは知らず、直達の父がその不倫の相手とも気付いていなかった。
それゆえ彼には榊の行動の意味が分からず話さない彼女に怒っていたのだ。
一緒に暮らす教授から仲直りするよう言われた榊はニゲミチと和解する為、彼に過去も含めて話す事にした。
その際、直達は一連の事を知らなかった事にしろと言われる。
確かに直達が不倫の事を知らなくても事件の経緯は成立する。
一瞬了承しかけた直達だったが思い直し「そーゆうのやです」と返した。(ここまで一巻)
彼は全てを一人で抱え込み、誰も頼ろうとしない榊の持っているモノを半分持ちたいと考えその事も口にする。
その後、現れた叔父と共に三人は大衆中華に向かった。
経緯を知らない叔父は榊に対して怒っていたが、話を聞くうち恐縮し始める。
食事も終わり本屋に行こうという叔父の誘いを断り、直達は榊を追った。
彼女に追いつき、半分持つと言ったのに何も出来なかった事を詫び頭を下げる。
榊はそんな直達の頭を撫で後悔しているか尋ねた。
後悔はしていないと答えた直達に「そう」と軽く返し、榊は背を向けてスタスタと家に向かって歩き始めた。
直達もそれを追って二人は家路についた。
感想
直達の叔父、ニゲミチ先生は榊に対して怒っていましたが、それは彼女が何の説明もしない事に対してであり怒りも声を荒げるような形ではありませんでした。
なんというか、この作品は激しい怒りといった感じが無くとてもほんわかしています。
その理由が今回の終盤、直達が泣くシーンを読んでいて不意に得心がいきました。
なんとなくですが登場人物の雰囲気が、動物のお医者さんに似ていると感じました。
勿論作品の内容やテイストは全然違うのですが、登場人物たちの感情が余り上下せず(上下はしているのですが表現がとてもソフト)フラットな感じで、理知的な部分がそう感じさせるのかもしれません。
あと、ニゲミチ先生が直達の父と直達を似ていると言っていましたが、行動基準が基本自分の為である父親と人の気持ちを考えている直達とでは全く違うなと感じました。
まとめ
今回もすごく気になる場面で終わっているので、早く続きが読みたいです。
最後にムーちゃん(ミスター・ムーンライト:子猫)は今回もすこぶる可愛かったです。
この作品は、pixivコミック、マガポケにて一部無料で閲覧いただけます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。