錬金無人島サヴァイブ 5 アフタヌーンKC
原作:伊口紺
漫画:保志レンジ
出版社:講談社
発電機を動力にして作った小型ボートで島を脱出したニコ、ジン、タクミ、サラの四人の漂流者。
大ウミヘビの襲撃や魚を狙う海鳥の狩りに巻き込まれる等、沈没の危機を迎えながら一行の乗ったボートは何とか新たな島にたどり着いた。
元居た島よりもかなり大きなその島で、ニコ達は屈強な肉体を持つ女兵士、ジェシカと出会う。
登場人物
ダンテ
モルト共和国の指導者、将軍
戦争の引き金になった大型客船クラウディア号襲撃について、一貫して関与を否定。
しかし、国連はダンテ将軍の訴えをアビシルが悪と仕立てるプロパガンダと考え棄却した。
あらすじ
たどり着いた新たな島で出会った女兵士、ジェシカ。
襲撃を警戒したジェシカは対話ではなく攻撃を選んだ。
鍛え抜かれた肉体を持つジェシカは、軍隊式の体術を会得しているジンを力で圧倒。
投げ飛ばしたジンを人質にして、ニコ達を拘束しようと試みる。
そんなジェシカの翳したナイフをニコは錬成。
同時にボートから海水を掻きだす為に作った桶も再錬成。
ナイフは殺傷力の無い人形に、桶は纏める事で大盥へと変えジェシカの頭に直撃させた。
その事で昏倒したジェシカを縛り上げ、今度は逆に彼女が何者なのかニコ達は尋ねた。
しかし、彼女が口を割る事はなかった。
そんな事をしている内に日は陰り、一行はビバークの準備を整える事にした。
ジンが提案したのは地面にトンネルを作り、焚火の熱を通す床暖房と、その熱を逃がさないようにするデブリハットシェルター。
まずは地面に図面を描き、トンネルとなる溝を掘ろうとしたのだが、島の大地は大きな石を含んでおり、痩せたタクミやニコやサラでは、日暮れまでに作業が間に合いそうになかった。
そこでジンはジェシカの拘束を解き、彼女に手伝いを申し出る。
和気あいあいとしたジンたちの様子に毒気を抜かれたのか、ジェシカは直にシャベルを受け取り、シェルターづくりを手伝った。
その後、名乗りあった一行とジェシカ。
だが、自分が何者なのかについてはジェシカが口を開く事はなかった。
そんな彼女に、ジンは国連の職員ではないかと問いかけ……。
感想
今回は新たな島で出会った国連職員の女性、ジェシカがこの島にたどり着いた経緯と、彼女の乗って来た飛行機の捜索から始まり、温泉とらせんポンプ、大樹の小屋と暗号機、クルミと戦争の原因となった大型客船クラウディア号事件、ジェシカの目的と戦争の真実、島からの脱出等が描かれました。
錬金術という超常の力はありますが、かなりリアルなサバイバル生活を描いた本作もこの巻で完結。
今回はニコ達の祖国、アビシル連邦とタクミたちの国、モルト共和国が戦争する事になった原因と、それを企んだ者たちについてが印象に残りました。
二つの国の戦争はモルト軍による、客船クラウディア号襲撃がトリガーとなっていました。
二国間の関係は冷え切っており、モルト軍の潜水艇の目撃情報により、非はモルト側にあるとされていました。
しかし、それは第三国の陰謀で……。
自国の利益の為に他国の人々に殺し合いをさせる。
人ではなく、国を優先させると他の国の状況、その国に住む人々の現状が見えなくなっていくのだろうか。
他国の人であっても同じ星に暮らす、人間なのに……。
国というカテゴリーで物を考えると、自国さえ良ければ他はどうなってもいいと人は考えてしまうのかもしれません。
ただ、他国の疲弊は難民や食料、エネルギー問題等、星全体に影響を及ぼすような気がします。
争いではなく、融和を。
作品を読んでいてそんな事を思いました。
まとめ
作品はニコ達が島を脱出する場面で終わっています。
その後のエピソードはカバー裏にあらすじ的な感じで書かれていました。
個人的にはそのエピローグも漫画で読みたかったです。
この作品はコミックDAYSにて一部無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。