外科医エリーゼ 3 フロースコミック
漫画:mini
原作:yuin
出版社:KADOKAWA
暴漢に襲われ重傷を負った皇太子の護衛、ランドルを救う為メスを振るったエリーゼ。
その事は皇帝の主治医ベン子爵の耳にも届き、その日当直だったグレアムが呼び出される事になった。
子爵と院長はグレアムが執刀したのだろうと踏んでいたが、尋ねられたグレアムは執刀したのはローゼ(エリーゼ)だとハッキリと答えた。
登場人物
ゴート子爵
テレサ病院の院長
当初はローゼ(エリーゼ)の事を訝しく感じていたが、周囲の評判や知識と為人を知り認識を改めた。
ルイ・ニコラス
フランソエン共和国の将軍
総統シモン・ニコラスの息子であり、砂漠のサソリと恐れられた軍略家でもある。
ハーバー公爵夫人
皇室の血筋である大貴族の一人
パーキンソン病を患っている。
あらすじ
執刀したのは自分ではなくローゼ(エリーゼ)である。
グレアムの言葉を信じられないゴート子爵は怒りを見せ、ベン子爵は戸惑いを見せる。
しかしグレアムは言動を翻す事はせず、信じられないのならば参加した補助員に聞けばいいと答えた。
グレアムの言を受けてベン子爵はローゼ(エリーゼ)に執刀について真実かを尋ねた。
エリーゼはどう答えるべきか少し迷った。
執刀は確かに自分が主導したが、傍から見れば見習いである自分のレベルを明らかに超えている。
やり過ぎたと反省したエリーゼだったが、その時を振り返り考えを改めた。
自分は目の前で人が死にかけていれば見捨てる事等出来はしない。
それに皇帝との約束、六ヶ月以内に医師として成果を上げるというモノもある。
エリーゼは執刀した事を認めた。
ベン子爵は素直に驚きを、ゴート子爵は疑いを持った。
ゴート子爵はエリーゼに手術の手順の詳しい説明を求めた。
それにエリーゼは術式における行為の意味と、それがもたらす結果について淀みなく答える。
まるで講義のような説明に二人は表情を変えた。
グレアムもエリーゼを後押しするように、再度執刀したのは彼女だと念押しした。
確かに執刀はこの少女が行ったのだろう。
しかし見習の彼女が何処でそんな知識と技術を得たのか。
二人はその事についてエリーゼに尋ねた。
エリーゼはどう答えるか少し考え、医学書から得た知識とそこから発展させた自分の考えを実践したという事にした。
全く経験のない人間が知識を本から得て、更にそれを昇華させ実践した。
ゴート子爵にはにわかに信じ難い事に思われたが、この国にはグラハム伯爵や大錬金術師フレミングといった医学を大きく発展させた天才がいる。
目の前の少女もその天才なのかも知れないとゴート子爵は考え始めた。
感想
この巻ではエリーゼの医師としての力が、徐々に周囲に認知され始めます。
また、前世では一方通行だった皇太子との関係も、彼女の行いの変化により変わり始めます。
他には転生前のエリーゼの所業についても色々と描かれました。
彼女が他者に対して高飛車で不快な行為を行っていたのは、それを咎める者も無く、それ以外の方法を知らなかったからでは無いでしょうか。
他者との付き合い方を学ぶには、一番は対等な関係で多くの人と接することだと思います。
関係性に上下があればそれは歪なものになるでしょうし、自分が上の立場であれば相手が不快であると訴える事もないでしょう。
エリーゼは日本での生活でその事を学んだのではないかと読んでいて思いました。
まとめ
前前世のエリーゼとしての知識、つまりはこれから起こる未来を知り、医師としての能力で本来死ぬはずだった人物を救う事が出来るエリーゼ。
彼女の行動が今後どう歴史を変えていく事になるのか、読むのが楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。