天国大魔境 2 アフタヌーンKC
作:石黒正数
出版社:講談社
キルコと二人旅を続ける内、気の合う彼女に好意を持ち告白したマル。
強引に迫るマルを落ち着かせ、彼の告白に返答するキルコ。
彼女の答えは予想外の物でした。
登場人物他
竹早春希(たけはや はるき)
浅草で暮らす少年
レーサーである姉と二人暮らし
医者
キルコが探している人物
初老の男性。
浅草で町医者の様な事をしていた。
稲崎露敏(いなざき ろびん)
キルコが探している人物
かつて春希が所属していたグループのリーダー。
竹早桐子(たけはや きりこ)
春希の姉
電動カートレースのレーサー。
ミーナ
トキオの施設を管理する人口知能
多分ベースに使われているのは人間の女性。
タラオ
トキオの暮らす施設の少年
マルを連れていたミクラと同じ病を発症している。
あらすじ
五年前、キルコは竹早春希という少年だった。
彼は稲崎露敏という青年がリーダーを務めるグループに所属していた。
グループは電動カートレースの興行を生業としており、春希は自分を亡くした妹に重ね良くしてくれる、リーダーのロビンに憧れを抱いていた。
彼の役に立とうと自分の作ったボウガンを手に、ロビンたちの向かった人食い狩りを追った。
だが合流した春希は、ロビンに激怒されてしまう。
人食いは文字通り人を食う危険な怪物だ。ロビンの怒りも当然だろう。
後日、姉の出場するレースを観戦していた春希は、コースに人食いの姿を発見する。
それを伝える為、コースを見ていたビルから駆け下りた春希だったが、ビルから出た時にはレースはスタートしていた。
もはや一刻の猶予もない。
そう考えた春希は、手製のボウガンを持ち、人食いを追い払う事にした。
彼が見たのは足の多い虫の様な姿の物で、大きさはワンボックスカー程、特徴としては体を透明にする事だ。
駆け付けた廃墟のアーケード街で、春希はそれと対峙した。
彼は透明化した人食いを見極め、ボウガンから弾(ナット)を放つ。
しかし、分厚い外皮に阻まれ攻撃は相手の注意を引く効果しか無かった。
覚悟を決めた春希は、ナイフを抜き柔らかそうな口元を狙い攻撃を仕掛けた。
手ごたえを感じた春希だったが、人食いはナイフごと春希の腕を取り込み始め、やがて胸近くまで飲み込んだ。
彼を助けたのはレーサーの姉、桐子だった。
彼女は人食いの口に春希の姿を確認すると、カートで特攻し怯んだ人食いから春希を奪い返した。
しかし、春希の体は両腕と胸から下を人食いに食われた状態だった。
姉が自分を泣きながら抱きしめている。
そこで彼の記憶は途切れ、次に目を覚ましたのは医者の病室だった。
そこで、病院のスタッフに支えられながら見た鏡には、姉の顔をした自分が映っていた。
感想
この巻の冒頭では、キルコの過去が語られました。
作中、春希(キルコ)の姉、桐子は春希を助けた際、重傷を負ってはいない様に見えました。
春希の記憶では経緯が分からない為、なぜ医者が春希の脳を桐子の体に移し替えた?のか理由は語られていません。
春希が桐子の体で目覚めた時には、医者は姿を消し、グループのリーダー、ロビンも仲間達も姿を消し、真相は全く語られないままでした。
たった一人残された春希は、キルコとして生きながら真相を知る医者と行方不明のロビンを探していたようです。
真実を知る為、それだけを糧に彼女(彼)は生きてきたのだなと読んでいて思いました。
また医者は相当高度な医療技術を持っている様で、それがトキオ達の暮らす施設とどう関係するのか、続きが気になります。
まとめ
あらすじで書いた様に、キルコの過去もかなりハードな物でした。
それでも暗くならないのは、二人が笑っているからだと思います。
この作品はアフタヌーン公式サイトで一部無料でお読み頂けます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。