極東事変 3 ハルタコミックス
作:大上明久利
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン
三浦中将が中心となって起こした奇兵隊(変異体:ヴァリアントで構成された秘密部隊)による新たな2.26事件。
東京を戦場に変えながら三浦は公邸の仮屋となっている式場に突入、日米の政府高官に刃を向けた。
登場人物
舞島麻衣(まいじま まい)
昴日報の記者
ショートカットの女性記者。
実家はGHQにも多くの娯楽を提供する、ホテル、娯楽施設を運営する財閥。
GHQによる検閲を嫌い、報道の自由を訴え真実を追求している。
愛車はベスパ
五十嵐八十(いがらし やそ)
戦災孤児
以前はスリで生計を立てていたが、現在は靴磨き一本で生活している模様。
砕花に奇兵隊の隊長玄森(くろもり)の情報を提供した事で、玄森の信奉者の襲撃を受ける。
あらすじ
式場に乗り込みクーデターを起こした三浦達。
そんな三浦を排除すべく近衛達GHQ治安衛生局は式場に潜入。
仲間の一人、医師の一ノ瀬(いちのせ)が敵の手に落ちるも、奇兵隊にも恐れられる近衛が敵を引き付け、一ノ瀬を連れた三浦を孤立させジュリアと砕花の二人で挟撃する事に成功する。
BAR(ブローニングM1918)を構えたジュリアに、一ノ瀬を抱えた三浦は撃ちたければ撃つがいいと余裕の笑みを浮かべた。
ジュリアは一ノ瀬が人質に取られているにも関わらず躊躇なく発砲、銃弾は三浦の体をハチの巣にした。
しかし、彼は血を流しながらも立ち上がり、抜き身の刀を手にジュリアににじり寄る。
三浦自身も処置を受け変異体(ヴァリアント)へとその身を変えていたのだ。
更に、三浦の部下達が駆け付け形勢は逆転する。
そんな絶体絶命の状況に壁を突き破りグレイハウンド(M8軽装甲車)が乱入。
M8は主砲の一撃で三浦の部下を黙らせると、砲塔を回転、三浦に向けて主砲を発射した。
感想
今回は三浦中将が起こした新2.26事件の顛末から始まり、雑誌記者舞島の登場、玄森の台頭、玄森の信奉者によるデモの始まり等が描かれました。
今回、印象に残ったのは、武力による政権樹立を狙った三浦を排除し、民衆の中に残る米国への憎しみや怒りを煽り扇動する玄森の姿でした。
彼は奇兵隊による実行支配では無く、民衆を味方に付ける事で国民感情に訴え、進駐軍と一般市民による衝突を画策していました。
民衆と正面から敵対してしまった治安衛生局。
彼らが今後、どのようにして事態を収拾するのか、先が楽しみです。
まとめ
感想で書いた様に、今回は三浦の目指した軍の力による支配から、玄森により政治の力へとやり方が変わった事が印象的でした。
現代でも行われている扇動等、敵を作り責め立てる行為。
それが今でも使われているのは、集団を動かす為に一番効率のいい方法だからかもしれません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この作品はComicWalkerにて第一話が無料でお読みいただけます。