スーパーカブ コミカライズ版 1 角川コミックス・エース
漫画:蟹丹
原作:トネ・コーケン
出版社:KADOKAWA
スーパーカブと女子高生をテーマにした作品のコミカライズ版です。
主人公の小熊は、山梨の高校へ通う高校二年生。
ある日、坂道を登っていた小熊は同じ高校の学生が、スクーターで楽々と坂道を登っていくのを目にします。
あれがあればと、小熊は原付を手に入れる事を考えるのですが……。
登場人物
小熊
高校二年女子
早くに父を亡くし、母親の失踪で天涯孤独となった少女。
現在は奨学金で一人暮らしをしながら高校に通っている。
礼子
小熊の同級生
容姿端麗、成績優秀、父は市議会議員、母は会社の経営者と小熊とは色んな意味で正反対の女の子。
カブに対して並々ならぬ思い入れを持っている。
あらすじ
原付を手に入れようと向かったバイクショップ。
緑の溢れる場所に建っている、その店に並んだバイクの値段に小熊は愕然とする。
彼女は奨学金で細々と暮らしている苦学生だ。
流石に十万を超える物はおいそれと手が出ない。
小熊に気付き、声を掛けてきた店主の老人に、予算が足りない事を告げ彼女は立ち去ろうとする。
しかし、店主は中古で良ければと一台のバイクを押して来た。
それは郵便屋さんや、新聞配達の人たちが使っているバイクだった。
シートを拭いて乗ってみるかいと尋ねた店主に、小熊はバイクに魅かれはしたが、他の原付の金額を考え尻込みする。
そんな小熊に、店主は一万円と告げた。
金額を聞いて、彼女は素早くバイクに近づき、シートに跨りハンドルを握った。
道の先から風が吹き、小熊の髪を躍らせる。
翳む道の先、これに乗ればどこまでだって行ける、その瞬間小熊はそう感じた。
バイクから降り、これ買いますと言い掛けた小熊だったが、明らかに安すぎる値段に不信感を覚えた。
その事を店主に問いただすと、三人殺してると答えた。
売れないだろうなと表情で語った店主に、小熊は躊躇なく買いますと答えた。
店主は、店内に案内し手続きを進めようとして小熊に聞いた。
「ところで免許は?」
「あ」
その後、無事免許を取得した小熊は、再度店を訪れた。
欲しかったバイク、スーパーカブは、店主に磨かれピカピカになっていた。
ヘルメットとグローブの有無を聞く店主に、小熊は自転車用のヘルメットと軍手を取り出す。
店主はちょっと待っててと、店から白いオープンタイプのヘルメットと黄色い革手袋を持ってきて、小熊に差し出した。
訝る小熊にポスターを指し示し、キャンペーン中だと答えた。
新品のヘルメットとグローブを身に着けた小熊は、キックスターターを踏み込み、エンジンをスタートさせた。
アクセルを捻り、探る様にゆっくりと走り出す。
エンジンが回り、自分を前に押し進める。
親も無く、友人も無く、趣味も無い。
しかし、その日、小熊はカブを手に入れた。
感想
バイクには車には無い魅力があると思っています。
それは恐らく、バイクでしか味わえない類の物だと思います。
身を守る車体が無く、ほぼ生身で風を感じ大地を駆ける。
私は初めて乗った時、とても自由を感じました。
これがあれば、今まで行ったことの無いどんな場所へも行く事が出来る。
そんな自由な物をバイクには感じます。
作品は、カブを手に入れた小熊が少しずつ改良し、徐々に自分のバイクにしていく様子が描かれています。
現在は手放してしまい、移動は車が多くなりましたが、読んでいると再びバイクに乗りたいなという気持ちが沸き上がってきます。
まとめ
小熊のカブライフは、初めてバイクに乗った頃の気持ちを思い出させてくれます。
正直カブには、軽トラと同じく業務で使う物といった印象しか持っていなかったのですが、このお話で印象ががらりと変わりました。
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