ヴィンランド・サガ 23 アフタヌーンKC
作:幸村誠
出版社:講談社
ヨムスボルグでの戦いは終わり、グズリーズのトルフィンへの想いを耳にしたシグルド。
彼は、自らの気持ちを殺し、戦いの中での約束を守ってアイスランドへ戻ろうとするグズリーズに、トルフィンの返事を聞くよう促します。
あらすじ
グズリーズは、トルフィンに自分が好きか尋ねた。
彼は自分の過去、そしてこれから起きるかもしれない争いの事を考え、彼女の気持ちに応える事は出来ないと一旦は断るが、グズリーズは過去や未来では無く、純粋に自分の事が好きかどうかを尋ねた。
シグルドは、グズリーズを置いてヨムスボルグから出航した。
彼はグズリーズへのトルフィンの答えを聞かず、船を出した。
ふて寝するシグルドに、デブのオムルが旅の道中を思い起こし話しかける。
思えば、海賊に捕まり、奴隷にされ、戦に参加し嫁に逃げられた。
笑いながら話すオムルに、シグルドは逃げられたのではなく、捨てたのだと苛立ちながら答えた。
オムルはそれにいいと思うと返した。
「いいと思うよ。シグやんのそういう、貧乏くじ引いちゃうトコがさ」
オムルの言葉を仲間の四人は、笑みを浮かべ聞いている。
その様子に少し照れたのか、シグルドは頭から毛布をかぶり寝床に潜り込んだ。
傷が痛いから寝かせろと話す彼に、四人は帰った後のシグルドの父ハーフダンの怒りを想像し、口々にヤバいと話し出す。
「寝かせろつってンだろが!!うるせェぞ!!」
穏やかな波の海をゆく船の上、シグルドの叫びが響いた。
感想
今回は、シグルドとハーフダン、そしてトルフィンの帰還が描かれました。
この巻では、シグルドの仲間の名前がようやく判明しました。
デブはオルム、黒ひげはヘルギ、帽子髯はセグン、無印髯はデュレでした。
彼らはハーフダンの家人でしたが、それを捨て、先の分からないシグルドについて行く事にしたようです。
シグルドは嫁のハトルゲルドをはじめとして周囲には、彼を慕う人が集まっています。
それは彼の表面では無く、内面の優しさや礼儀正しさが悪ぶっていても伝わったからなのでしょう。
ハーフダンは、最初に登場した時は、金と力に物を言わせるヤな奴という印象でしたが、彼は彼でアイスランドを豊かにしようと必死だったようです。
そんなハーフダンと、旅で様々な経験をし成長したシグルド。
今回二人は、殺し合いの様な親子喧嘩をするのですが、シグルドは初登場の時と比べるとすごく強くなったなぁと感じました。
まとめ
トルフィンがミクラガルドから帰還した事で、次巻からはいよいよヴィンランドへ向けての旅が始まるのかなとワクワクします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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