赤ずきんの狼弟子 2 講談社コミックス
著:茂木清香
出版社:講談社
獣人、人間、狩人、三種の人が住む世界で、本来狩る側と狩られる側の二人が師弟になる物語。
買い出しの為、人間の街を訪れたウルとマニ。
道中、ハーピーの子供を助けたりしながら、街までたどり着きます。
ウルの武器のメンテナンスの間、マニは武器屋のアンナに教わり、ウルへの感謝を示すため、音楽を奏でる四つ葉のクローバーを探します。
そこで狩人のキルケネスに見つかり、狩られそうになりますが、アンナの報せを受けて駆け付けたウルの介入で、逃げ延びます。
キルケネスは、ウルにどちらが先にマニを狩るか、一方的に勝負を持ち掛けます。
第5話 即ち、右手に宿る信頼 あらすじ1
キルケネスは、どちらが先にマニを狩れるか競争だとウルに話し、爆発を起こしてウルを牽制し、マニを追った。
キルケネスは、去り際ウルにあの子供、急がないと最近噂の獣に食べられちゃうかもと言い残した。
ウルはキルケネスが起こした爆発によって倒壊する建物から、子供を救いマニを見つけるべく街を駆ける。
途中手配書を発見、そこには徘徊する獣、血を啜る獣の情報が書かれていた。
一方キルケネスから逃げたマニは、完全に迷子になっていた。
アンナとウルを呼びながら、歩いていると何かにぶつかる。
それは、花を抱えた熊の獣人だった。
お互いに驚き怯える二人。
熊の獣人は、驚いた拍子に落とした花に気付き、慌てて拾い集める。
その様子に、マニはお手伝いと熊に駆け寄った。
すると、窓をノックし熊に声を掛ける者がいる。
マニは熊の事が人間にバレると慌てるが、熊は大丈夫と家に入った。
家の中には、椅子に座った女性が一人。
彼女は熊に、ずっと待っていたのよと笑顔で話す。
熊は、アイリさん、すみませんと言いながら、持っていた花を手渡した。
アイリは礼を言って、いい香り、きっとかわいらしいお花ねと答える。
その様子にマニは女性の目が見えない事を覚り、だれかにやられた?と思わず尋ねる。
彼女は笑いながら、生まれつきだと返した。
続けて言うには、いい医者がみつかり、治療すれば見えるようになるらしい。
アンリはお花屋さんの顔が見れるのが、楽しみだと笑顔を見せた。
熊はその言葉に戸惑いながら、うまくいくといいねと答えた。
アンリは治療が成功するか不安だと口にし、熊にいつものように頭を撫でて欲しいと頼む。
熊は右手の手袋を外し、彼女の頭を優しく撫でた。
その手は人のそれだった。
マニは驚きを隠せないが、熊は人差し指を口にあて黙っているように頼んだ。
その後、マニは熊の花摘みを手伝い、もらったおやつを食べながら彼と話した。
マニが女性の目がよくなるようでよかったと、話すと熊はそれは良い事だが、そうなったら彼女とはお別れしないと、と返した。
マニは仲の良い二人の様子に、なぜ別れないといけないのか分からない様子だ。
熊は彼女が優しいのは、自分の姿が見えないからだと話した。
彼は血が濃く、マニの様に耳を隠すだけでは誤魔化せない。
獣の姿を見られ、その後、彼女がどんな反応をするのかとても怖いと彼は語った。
彼女との出会いは、群れからから追い出され、空腹のあまり盗みに入った事が切っ掛けだった。
花瓶を落とし、気付いた彼女に使った言い訳が花屋だった。
それから毎日、花を贈り続けている、彼女の喜ぶ顔が見たくてと熊は話した。
右腕はある人が変えてくれたと熊は言った。
右腕だけでも、彼女との接点が欲しかったそうだ。
でも、それももうおしまい。
「大切な人だからこそ、一緒にはいられない」
「たいせつなひと…だから…」
マニはその言葉に、ハッとしたように彼を見た。
あらすじ2
話す二人の周りに、突然矢が突き立つ。
ウルが弓を構えこちらを見下ろしていた。
ウルは心配を掛けたマニを睨みつけ、花屋に手配書を突き出す。
そして、手配書がある以上、自分には彼を狩る理由がある事を告げる。
しかし、花屋からは血の匂いがしない事と、必死に庇うマニの姿に脅威ではない事は十分わかったと話し、マニが世話になったと彼に礼を言った。
見逃すから街を出ろと話しながら、花屋の花を持つ右手にウルは気が付いた。
ウルがそれを尋ねようとしたと同時に、その脇を何かがかすめた。
途端に爆発が起きる。キルケネスが放った武器が炸裂したのだ。
俺とは戦わないじゃなかったのかと尋ねるウルに、キルケネスは獣人が二人もいたら狩りたくなると答えた。
彼はウルが自分の武器を持っていない事を見て取り、無数の刃を放った。
彼の血は爆発の力を持っている。
それを使い、自分以外の美しくないものは、爆死させないとと狂気を孕んだ目で話した。
その足が花を踏んだ事に気付いた花屋が、キルケネスに駆け寄るが、手にしたもう一つの武器で切り刻まれる。
キルケネスは、熊の肩に激しく刃こぼれしたその刀を突きさし、笑い声を上げる。
彼は獣人の血は美容効果があるって噂だ、また美しくなっちゃうと恍惚の表情を浮かべた。
さらに熊を切りつけようとする、キルケネスをマニがしがみついて止めた。
そのマニに、ボクは楽しみを邪魔されるのが、芋虫の次に嫌いだと刃を突き立てようとする。
「次、生まれてくる時は、ボクみたいなれるといいね!」
「余計なお世話だ」
ウルはそう言い放ち、キルケネスの顔を弓で殴りつけた。
ウルの攻撃で借りた人間用の弓は壊れていた。
キルケネスは自分の技を受けて、無傷のウルと何より自分の顔に傷をつけられた事がショックで固まっていた。
そんなキルケネスにウルは、どうした動きが止まっているぞと声を掛ける。
お前の言葉で言うと…そうだな…とウルは少し考え言った。
「この赤髪に見惚れたか」
自分を見下ろし、笑みを浮かべそう口にするウルを見て、キルケネスは美しいと思ってしまった。
キルケネスはウルの事を美しいと思った事で、それが壊れる瞬間が見たいとさらに興奮する。
冗談は服装だけにしておけと、キルケネスと対峙するウル。
マニは、キルケネスが花屋から離れたのを見て、駆け寄り大丈夫?と彼を労わる。
なんとか…と花屋は答えるが、腕がと口にすると苦しみだした。
腕が変化し、血が飛び散る。
ウルの前には、右腕を無数の指や手に変えた異形がいた。
今回の見どころ
・花屋の感謝
異形に姿を変え、体を乗っ取られた花屋は、街に行き愛する人に姿を見られる前に、自分を狩ってくれたウルに、ありがとうと感謝の言葉を口にします。
ですが、ウルにその言葉は聞こえず、自分は恨まれているだろうと呟きます。
狩人と獣人、一方通行なやり取りがとてももどかしく、切ないエピソードでした。
・マニのクローバーと花冠
キルケネスに踏まれ、音楽を奏でるクローバーは見つける事が出来なかったマニですが、代わりにスケッチブックに描いたクローバーをウルに送りました。
その後、アイリにマニは花屋の代わりに花冠を届けます。
アイリは花屋が獣人である事に気付いていました。
そして目が治れば、彼が離れていくことも分かっていたようです。
マニの優しさに救われた気持ちになりました。
※上記はあくまで私見です。
まとめ
獣人と狩人、相容れない種族ですが、ウルとマニは絆を深めていき、お互いに大切な存在になっているようです。
この作品は雑誌連載としては三巻で終了です。
以降は同人誌として発表されるそうですので、気になる方は下記のリンクから、茂木清香さんのツイッターをチェックしてみてください。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。