青野くんに触りたいから死にたい 1 アフタヌーンKC
著:椎名うみ
出版社:講談社
高校二年生の刈谷優里(かりや ゆうり)は、同じく二年生の青野龍平(あおの りゅうへい)に恋をします。
優里は彼の印象に残ろうと思いきって告白。
結果、OKを貰い二人は付き合う事になったのですが、告白からたった二週間で龍平は交通事故であっけなく逝ってしまいました。
登場人物
刈谷優里(かりや ゆうり)
高校二年女子
図書委員の仕事で抱えて運んでいた本を落とした時、龍平に助けられ、強く彼を意識するようになる。
大人しくクラスでは余り目立たない存在。
メンヘラ気味。
青野龍平(あおの りゅうへい)
高校二年男子
表面上は明るく優しい性格で友人も多い。
心の底に自分も知らない闇を抱えているようで、たまにダークな青野に豹変する。
その間の事はライトな青野は覚えていないようだ。
藤本
高校二年男子
青野の友人。
思っている事は口に出すが、本当の本音は言えないタイプ。
堀江美桜(ほりえ みお)
優里のクラスメイト
不登校の女子、家に引きこもっている。
ホラー好き。
あらすじ
優里には青野のいない世界が闇に思えた。
彼に会いたい優里は、戻った自分の部屋でカッターを手首に当てる。
カッターの刃が僅かに優里の手首に血を滲ませた時、突然部屋に龍平が現れた。
驚きで優里は我知らず手にしたカッターを取り落とす。
恐る恐る青野くん……?と問い掛けた優里に、青野は少し興奮しながら「死ぬ程のことじゃないだろ!?」と声を荒げる。
どういう状況か分からないが優里は青野を見つめ、彼も優里を見つめた。
その後、二人は自然に抱き合おうと身を寄せる。
しかし優里の体は青野をすり抜けた。
触れないよと言う優里に青野は幽霊だもんと冷静に返した。
その言葉が浸透すると優里は死ぬしかないのねと、取り落としたカッターを拾い上げチキチキと刃を伸ばした。
落ち着いてよと青ざめながら言う青野に、優里は落ち着いてるよと声を荒げ、
「生きているから触れない、なら自分が死ぬしかない、青野は生き返れないのだから」
と一気に捲し立てた。
泣き出した優里に青野はごめんと辛そうに謝る。
それを見た優里は責任を感じている様子の青野に謝った。
鼻を赤くした優里に顔を向け青野は君の側に「ずっといるから死なないで」と話す。
幽霊は嫌?と聞いた青野に優里は嫌なわけないと強く答えた。
その後、優里はただ…と口ごもる。
彼女は、青野に触れない事が気になっているようだ。
青野は優里にベッドに置かれた枕を立たせた。
それに体を重ね手を差し伸べる。
優里はおずおずと彼の傍によりその枕の体を抱きしめた。
初めてのハグは自分の匂いがした。
感想
上記冒頭だけでは、メンヘラ気味の女子と幽霊男子の恋愛模様の様相ですが、青野は突然豹変する事が第一話で描かれていますので、事はそう簡単では無さそうです。
映画「ゴースト」でもそうでしたが、生者と死者はやはりいつか別れなければいけないのでしょう。
黒い青野の存在は気になりますが、普段の青野と優里の様子は初々しくて見ているとほのぼのします。
それだけに青野が既に死んでしまっている事が余計に切なさを感じさせます。(たまに青野は突飛な行動を取るので、その部分は笑えますが)
またこの巻では、青野の友人、藤本の涙がとても印象的でした。
青野のクラスメイトは悲しんでいましたが、恐らく一月もすればそれも薄れていくのではないでしょうか。
この感覚は、名前を知っている有名人が亡くなった時、急に悲しみ始める人々を見る感じに似ていると思いました。
その中で藤本だけは本当に青野の死を悲しんでいる様に感じました。
まとめ
優里は青野が好きすぎて、自分が壊れてもいいと思っている所がある様に感じます。
ダークな青野が何なのか、目的は何なのか?と先が気になります。
この作品はpixivコミックにて一部無料で読む事が可能です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。