よふかしのうた 1 少年サンデーコミックス
著:コトヤマ
出版社:小学館
中学二年生の夜守コウは告白された女子を振った事で、学校が面倒になり不登校となった。
その影響でエネルギーを使わなくなったコウは、夜眠れなくなってしまう。
家族が寝静まった深夜、彼は誰にも言わず一人外に出た。
登場人物
夜守コウ(やもり こう)
中学二年生
恋愛というモノが分からず、自分を好きになってくれた女子を振ってしまった。
その後、彼女の友達であろう女子から、なぜ振ったのかと責められる。
学校生活は上手くやって来たつもりだったが、唐突に全てが面倒になり不登校になる。
不登校からの活力飽和、不眠を経て夜遊び(夜の散歩)へとつながり、初めてうろついた夜に七草ナズナと名乗る吸血鬼と出会う。
七草ナズナ(ななくさ なずな)
吸血鬼の女性
人が寝静まった夜の街で獲物を探す吸血鬼。
夜遊びをしていたコウを見つけ、家に連れ込み血を吸った。
その際、彼の血の美味しさに感動する。
ちなみにこの作品の吸血鬼は、相手が自分に恋をしていないと血を吸っても対象は吸血鬼化しない。
朝井アキラ(あさい あきら)
コウの幼馴染の女子
コウは疎遠になり友人関係も途絶えたと思っていたが、アキラはそう思っていなかったようで、深夜と早朝という生活リズムの重なりから再び話すようになる。
感想
「だがしかし」の時もそうでしたが、登場人物がコミカルでキュートです。
コウとナズナのやり取りも、ほのぼのしていて読むと癒されます。
コウが不登校になった原因は、女子同士のつながりへの嫌悪から始まり、学校生活、集団の中で歩調を合わせ、周囲と上手くやっていかなければならないという、同調圧力に対する面倒さからだった様に思います。
人が集まれば、合わせる事をせず好き勝手に生きていれば反発を生みます。
ただ、日本の教育制度における学校は、個性を殺し誰かが考えた模範に沿う事を強く強制してくる様にも感じます。
なんとなくですが、そんな風な人間の方が、御しやすく社会的には都合がよいからではないかと考えてしまいます。
そしてそういう人達で構成された社会は、はみ出した人間を寄ってたかって叩く傾向にあるように思います。
単一の規格で構成された社会は効率はいいのでしょうが、多様性を失くし、画期的なアイデアや柔軟な思考を失わせる要因の様な気もします。
マイノリティも受け入れる、器のでっかい社会がいいなと思います。
この作品では、主人公のコウはナズナになんとか恋をして(コウには人を好きになるという事がよく分からない、現状では彼女を好きになろうと奮闘中)自らも吸血鬼になる事を望んでいます。
夜を飛ぶナズナはとても自由に見え、コウが吸血鬼になりたい気持ちも分かる気がします。
まとめ
「だがしかし」のコトヤマさんの新作という事で、発表された時からとても楽しみにしていました。
吸血鬼のナズナとの出会いがコウにどんな変化をもたらすのか、次巻が楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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