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妖怪解析官・神代宇路子の追跡 人魚は嘘を云うものだ

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人魚妖怪解析官・神代宇路子の追跡
人魚は嘘を云うものだ

著:峰守ひろかず
画:七原しえ
出版社:KDOKAWA/メディアワークス

暴走気味な新米刑事(作中早々と刑事を辞職)「御堂陸」と謎多き美人解析官(私生活は結構ルーズ)「神代宇路子」の二人が人魚を追う、オカルトミステリーです。

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登場人物

御堂陸(みどう りく)
豆井戸警察勤務の新米刑事
正義感が強く、感情に任せ突っ走る傾向あり。
嘘が言えず、思った事をそのまま口にしてしまいがち。
孤児であり、養護施設出身。
真相を知る為、刑事を辞職

神代宇路子(かみしろ うろこ)
神代解析センターの所長
警察から委託を受け証拠品を解析する、民間の解析所を運営している。
警察と関わる時には前髪と眼鏡で顔を隠し、喋り方もぼそぼそしている。
また、身だしなみに無頓着で、食事もゼリー等で済ます。

伊出隆司(いで りゅうじ)
陸の先輩であり相棒の刑事
自らをイタリア出身と名乗る浅黒い肌(多分日焼けサロン)の軽い刑事。
チャラいけど結構頼れる。

八津頭謙一郎(やつがしら けんいちろう)
元市長
街の名士で、施設にいた陸を色々気に掛けてくれた。

冒頭あらすじ

豆井戸市警察の新米刑事、御堂陸(みどう りく)はある時、市民からの通報で駆け付けた現場で、上下で切断された時間のたった遺体を確認する。

彼は切断面の鋭利さから、犯罪に関係していると推測するも、上司は自殺で処理してしまう。

上がった遺体は明らかに何かの犯罪に関係している。
だが、課長は自殺として処理するようだ。

納得のいかない陸は食い下がるも、そこに呼ばれた伊出は課長の指示を了承してしまう。
伊出も遺体がおかしい事は承知しているようだが、課長と二人、何やら分かり合っているようだ。

課長は伊出との会話の最後に「A案件だ」口にした。

その言葉を聞くと、伊出は何も聞かず命令を受諾した。
納得がいかない陸は“A案件”ついて尋ねるが、伊出も詳しくは知らないようだ。
ただ、深入りする事も、感心を持つ事もさける事は、豆井戸警察では暗黙の了解のようだった。

それでも陸が食い下がっていると、そこにロングヘアの若い女性が現れた。
眼鏡に猫背、前髪で顔を隠した地味な女性だった。

彼女は神代解析センターの神代宇路子。
警察から証拠品の解析を委託されている、民間の業者だ。
事務所は彼女一人という小さな物だ。

どうやら依頼のあった血液の解析結果を、届けに来てくれたようだ。
伊出は彼女に川から上がった遺体の話を振った。
彼女はサンプルを返す為、遺体安置所に立ち寄ったようで、遺体も見たようだ。

伊出は平凡な自殺なんだけどと、宇路子に話を切り出す。
彼女は遺体に違和感を感じながらも、刑事さんがそう言うならと、頷きを返す。

その答えに伊出は満足気に笑い、陸にこれが大人の対応だと告げた。

解説

不自然な遺体を自殺で処理する裏には、上からの圧力が関与していました。

A案件と呼ばれる一連の事件。
富裕層の間で取引される「アンデルセン」と呼ばれる健康食品。
最近になって急激に犯罪の増えた街。

様々な物の背後に見え隠れする人魚の存在。

解析官の宇路子は、表では眼鏡で顔隠して目立たない様に行動しています。
彼女は、伝説にある人魚を追っている様なのですが、陸には自分の事は余り語りません。

作品は、少女の疾走、放火事件、そして人魚の肉と思しき健康食品販売とつながり、徐々に真相に迫っていきます。

感想

人魚という未確認生物を中心に、ミステリータッチで物語は進行していきます。
オカルトが主題になってはいますが、読み物としてはミステリー、犯罪を追う探偵小説としての色が強く、ミステリーファンにも問題なく楽しめる作品だと思います。

私は作中、躊躇なく最短距離(条件反射とも思える)で返答する陸に好感を覚えました。
それは宇路子に対しても、犯人に対しても変わらず、一貫しています。

言葉を重ね答えを言わず、うやむやになる事が多いと感じる昨今、陸ぐらいハッキリ、ズバッと言えばいいのにと思ってしまいました。

まとめ

一連の人魚にまつわる事件はこの一冊で解決していますが、まだ未解決の事柄もあり、シリーズとして続編が読みたいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

作者の峰守ひろかずさんのアカウントはこちら

※イメージはpixabayのSharon Angによる画像です
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