漫画

狂斎 第一巻 登場人物・あらすじ・感想

投稿日:2019年11月14日 更新日:

日本画
狂斎 1 トクマコミックス
echoes
著:ちさかあや
出版社:徳間書店

幕末から明治にかけて活躍した天才絵師、河鍋暁斎(かわなべ きょうさい)の若き日々を描いた作品です。
主人公甲斐洞郁(かい とういく、後の暁斎)の絵に対する狂気が乱舞する作品です。

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主要登場人物

甲斐洞郁陳之/狂斎(かい とういく のりゆき)
後の河鍋暁斎
版元もその技量は認めているが、時代のニーズに合わずブレイク出来ずにいる。
基本、絵の事しか考えておらず、自分の絵が認められない事に憤っている。
無口だが、酒に酔うと喋る事もある。
普段は背中で語るタイプ。

吉岡米次郎(よしおか よねじろう)
後の吉岡芳年
洞郁を慕い、彼の世話を焼きつつもその才能に嫉妬している。
憧れ、陶酔、嫉妬、強く魅かれながら自分がそうなれない事に怒りを感じている様にも見える。
なんか男だけど色っぽい。


洞郁の肩によく乗っている蛙
彼?が何なのかはよく分からない。
洞郁の絵に対する執着が生みだした者なのか、北斎の亡霊なのか。
酒に酔った幻覚かもしれないが、すこぶる妖怪っぽい。

あらすじ

歌川国芳に学び、駿河台狩野派の前当主洞白の下で修業を終えた甲斐洞郁は、版元に認められながらも、時代に即した絵を描かず酒浸りの日々を送っていた。

ただ、彼が酒を飲むのは逃げている訳ではなく、酔いがもたらす酩酊を得る為だった。
酩酊した意識の中では、洞郁は人の情念が見えた。

彼はそれを絵にする事に、並々ならぬ情熱を燃やしていた。
今日も斬り殺された女の、血の滲んだ着物を見ながら筆を走らせる。
初めに書いたのは美しい女の立ち姿だった。

その後、米次郎が持って来た酒を喰らい、洞郁は着物に歩み寄る。 彼は着物に染みた血を嗅ぎ、味を確かめた。
何をしているのか問う米次郎に、洞郁は珍しく答える。

彼は着物に残された様々な情報を読み解こうとしていた。
血の滲み、汚れや皺、裂けやほつれ、これを着ていた女が何故斬られ、何を思い、どんな生き方をし、そして何故殺されたのか。
思考は女の容姿に及び、殺された女の生々しい感情を浮かび上がらせる。

洞郁が描き上げたのは、おどろおどろしい悪鬼の様な女の立ち姿だった。

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感想

絵は人が生まれて文字よりも先に獲得した、他者に情報を残す手段だと記憶しています。

ラスコー洞窟に描かれた牛の絵は、世界最古の絵画として有名です。
そんな昔から人間は、絵という物に強く魅了されていたのだと感じます。

この物語はそんな絵に魅せられた男、甲斐洞郁改め、狂斎の若き不遇の日々を綴った作品です。

当時世間では、師匠国芳が描く様な明るい作風が求められていました。
狂斎の描く、人の情念が滲み出るような生々しい作風は受け入れられなかったようです。

唯、受け入れられない事に憤りながらも、絵を描いている時の彼からは狂気と共に悦楽の様な物も感じました。

第一巻で登場する人物の中では、私は絵師の金蔵、通称絵金に強く魅かれました。
絵金は楽しむ事に重きを置いています。

自分が楽しく無ければ、相手を楽しませる事等出来ないと私は思っています。
絵金のウィンウィンの生き方は、とても共感出来ました。

まとめ

狂気に満ちた狂斎の絵や彼が感じる物は、ドロリとした人の暗い部分の様に感じました。

唯、それ以外の日常を描いたシーンでは、とても明るく江戸時代の街や自然が描かれています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

こちらの作品はマンガハックにて第一話が無料でお読みいただけます。

ちさかあやさんのTwitterはこちら

※イメージはpixabayのPrawnyによる画像です。
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