白銀の墟 玄の月 4
著:小野不由美
画:山田章博
出版社: 新潮社 新潮文庫
十二国記の第九作目、その第四巻目。
今回は読み終えての感想を書きたいと思います。
感想
前作「黄昏の岸 暁の天」から随分と時間が過ぎてしまいました。
元号が変わり、前作が出版された時には無かった物が街には溢れています。
この作品は四冊という大長編で描かれました。
私は皆の感想が気になり、アマゾンのレビュー等も見てみたのですが、一、二巻のレビューには好意的な物が殆どの中、低評価をつけた物もありました。
低評価の理由は私が見た限りでは、長い、二冊読んで何も謎が解けていない等に対する不満だった様に思います。
このシリーズの特徴として、前半部分はとにかく辛く苦しい事が起きるというのが上げられます。
最近のライトノベルの特徴として、最初っから最後までサクサクと物語が続き、主人公の挫折は有っても最初だけという物が多い様に思います。
低評価をつけた方は、そういったサクサク展開を望んでいたのかもしれません。
(ライトノベルを批判するつもりは全くありません。私自身、そういった作品は大好きでよく読んでいます)
この作品はその逆で、前半部分はずっとモヤモヤした物を引きずり続ける事になります。
ただ、そのモヤモヤとした部分が、後半で解き明かされていきます。(残った謎もありますが……)
読んでいると「風の海 迷宮の岸」に書かれた事柄さえ、作中のあるシーンへの伏線だったのではと勘ぐってしまう程です。
全体の感想として、これまでの十二国記は長編の主役はあくまで王とその周辺(風の海の主役は泰麒ですが……)だった様に感じます。
ですが今回の主役は泰麒と李斎、そして王を求め戦った全て人々の様に思いました。
作品として満足したかと言われると、消化不良な所は私個人の感想としてはあります。
しかし、物語の主軸が驍宗ではなく、泰麒にあったのだとすれば物語の構成的には間違っていないようにも感じました。
どちらにしてもファンとしては、長年気になっていた戴国の事に一応の決着がみられて良かったです。
まとめ
ひとまず、物語は終わりました。
今後、戴がどうなっていくのか気になりますが、それはまた別の話という感じでしょうか。
項梁や琅燦の事等、後日談が読んでみたいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。