堕天作戦 1 裏少年サンデーコミックス
作:山本章一
出版社:小学館
人と魔人が争いを続ける世界。
人は腐鉄菌により科学による優位を失い、魔力を持つ魔人に対する力を失いつつあった。
登場人物
アンダー
不死者
異常な再生能力を持つ人間。
その再生の力は無から有を生み出すレベル。
唯、体は再生しても心はそれについて行けず、レコベルと会うまで廃人のようだった。
レコベル
魔人の女性
ピロの秘書官
魔人は寿命が短く30年程が寿命、また成体と幼体で容姿が異なる。
彼女は幼体成熟した個体で、魔力に優れ治癒魔法が得意。
軍の資金を不正使用し、自分の研究、博物学に回していた。
ピロ
魔人の旅団司令官
業火卿と呼ばれる魔人でも屈指の術者。
残忍な性格で、アンダーを様々な方法で処刑している。
ギンカ
魔人の小隊長
魔竜騎兵ルビーに襲われ、多くの部下を失う。
小石を用いた狙撃魔法を得意とする。
サウジーネ
ギンカ小隊の隊員
旦那と子供を支えるお母さん。
面倒見のいい、古参の兵士
ディジー
ギンカ小隊の隊員
武器はクロスボウの弓兵
玉の輿を狙うギャル系
モーラ
ギンカ小隊の隊員
テレパス能力を持つ通信兵
新兵であり能力は高いが、性格は争いごとに向かない。
シュロ
ギンカ小隊の隊員
討ち死に上等の新兵
義を重んじる侍みたいな人。
多少、魔法は使えるが使えば寿命を削り、自分も傷つく禁忌術の使い手。
ナミロ
ギンカ小隊の隊員
幼体成熟の療術使い
幼く見えるが、実際はサウジーネと同い年
ルビー
魔竜騎兵
魔竜と呼ばれる生体兵器を操る女性。
自分の意思のままに生きる事を信条としている。
戴天党と名乗る、人と魔人の入り混じった集団に所属している。
カトラス
魔竜
ロケット魔法により飛翔する生体兵器。
自らの意思を持ち、求愛したパートナーに従属する。
カトラスは外部甲冑により、可変戦闘機の様な見た目。
あらすじ
人側の兵士だったアンダーは、不死者としての能力の為、自爆兵として戦争に参加していた。
しかし、死に続ける日々は彼の精神を摩耗させ、人としての感情を失わせた。
ある日、敵である魔人の捕虜となったアンダーは脱走を図った事で中央から離れた旅団に移送。
更に研究の為、様々な処刑を行われた後、放置される。
その後、着任したピロ司令により、水素ガスを用いた気球で高高度まで飛ばす処刑方法を試され事になった。
その際、横領を行っていた秘書官のレコベルも、一緒の気球で上げられた。
高度が上昇していく中アンダーは、レコベルと様々な話をする。
博物学に必要なお金の為に、評判の良くなかったピロの秘書官になった事。
秘書の権限を悪用し、軍の金を自分の研究に当てていた事。
アンダーの事、自分の事、会話を続ける内、アンダーの心は少しづつ動き出す。
最後に彼女はアンダーに魔法をかけた。
素敵な物を沢山見れますように。
あたしが知り切れなかったこと、たくさん知れますように。
心も……何度でも……蘇りますように……
やがて気球は弾け、アンダー達は空に放り出された。
見上げた空には太陽が輝き、その隣に星の光が見える。
大地に引かれていくレコベルの懐から、望遠鏡が零れ落ちた。
アンダーはそれに手を伸ばし、光る星を見た。
望遠鏡から覗いた宇宙には、太陽のフレアを背にして五芒星の形の何かが浮かんでいた。
感想
科学技術で生みだされた魔人と人、そして不死者アンダーの物語といった感じでしょうか。
登場人物が全員人間臭く、悪役であるピロ司令でさえ嫌いになれません。
まぁ近くにいたら最悪の人物ですが。
この作品は既存の何かに当てはめるのが難しく、人に説明するのがとても難解です。
ジャンルでいえばSFなのでしょうが、退廃した世界での人、魔人、それらが混在した戴天党の三つ巴の争いも加わり、戦記としての要素も加味されています。
また、現実とは全く違った生態系、魔竜や人とは毛色の違う魔人たち等、独自の世界観を形成しています。
これだけ混沌としているのに、読むと何故かとても心に響きます。
まとめ
登場人物、皆愛嬌があって死んでほしくないんですけど、結構簡単に死んじゃいます。
なんか全員魅力的って凄いですね。
この作品は裏サンデーにて一部無料で閲覧いただけます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。