バカレイドッグス 1 ヤンマガKC
原作:矢樹純
漫画:青木優
構成:津覇圭一
医療監修:茨木保
出版社:講談社
犬童辰次(いぬどう たつじ)と亥三の兄弟はとある街の裏通りで商売をしている。
辰次は闇医者、亥三は事前に金を払っておけば治療費を立て替えるモグリの保険屋だ。
二人は犯罪に関わり訳アリの者達を、金と引き換えに治療していく。
登場人物
雪野鈴(ゆきの りん)
看護師
父親の借金により土佐組に売られそうになっていた所を、看護師を探していた犬童兄弟に買われる。
表社会で生きてきた為、患者に対してドライな犬童兄弟には戸惑いを感じている。
犬童辰次(いぬどう たつじ)
凄腕の外科医(無免許)
裏社会で人間として生きる為のルールを厳格に守っている。
見た目が若く小柄な為、弟の亥三の方が兄と思われがち。
彼が運営している病院は前払い制で、金を払えない者の治療は基本的に一切しない、例え患者が死の淵にあったとしても…。
犬童亥三(いぬどう いぞう)
モグリの保険屋、辰次の弟
筋骨隆々の偉丈夫。
辰次の報酬を保険加入者に変わり立て替える。
支払い額は掛け金の十倍まで。
お取り寄せグルメを良く購入している。
取り寄せているのは亥三だが、食にこだわりがあるのは辰次の方のようだ。
あらすじ
父の借金により、暴力団「土佐組」に拉致され暴行を受けていた雪野鈴は、看護師を探していた犬童兄弟に身柄を買われる。
薬で眠らされた鈴は食欲をそそる香りで目を覚ます。
そこには二人の男が、中華街の有名店の小籠包を食べていた。
その一人、ガタイの良い男が気付き、鈴に声を掛けてきた。
鈴は男に犬童さん?と問い掛けるが、男は犬童だが鈴を買ったのは自分では無く兄だと返した。
鈴は紹介された童顔の小柄な男を見て、弟ではつい思ってしまう。
兄だと紹介された辰次が、鈴に空腹か尋ねる。
彼らのテーブルには湯気を上げる小籠包が乗っていた。
思わず鈴はその小籠包を注視してしまった。
弟の亥三は半年待ちで取り寄せたのにと渋るが、辰次は今日は長くなると答えた。
状況が分からず困惑する鈴が、事情を尋ねていると突然けたたましくブザーが鳴った。
仕事だと席を立つ二人。
鈴が亥三に「仕事って?」と尋ねると彼はウチの仕事はハードだが、死なずに働けば借金は一年もあれば返せると答えた。
死なずに…。
そんなに危険なのかと問う鈴に、亥三は不気味な笑顔を浮かべ、危険なのは客だと話した。
着替えたら仕事しろと言い残し、亥三は部屋を出て行ってしまった。
一人残された鈴は意を決し、術衣に着替えカーテンの掛かった部屋に入る。
声を掛けてカーテンをくぐると、そこにはメスが並べられ、壁際には医療機器、そして天井には無影灯が輝いていた。
此処は病院らしく、仕事というのは辰次の助手を務める事のようだ。
手術の経験を問う辰次に、鈴は一応実習でと答えた。
辰次は続けて鈴に力は強いかと尋ねた。
質問の意図が分からず鈴が戸惑っていると、亥三が男を抱えて手術室に入ってきた。
男には左腕が無く、応急処置された傷口の布には血が染みていた。
感想
辰次と亥三、二人の酷薄さに鈴は当初憤りを感じます。
ですが犯罪が横行する裏社会では、どちらかに肩入れする事はもう片方の恨みを買う結果となるでしょう。
金を払えば主義主張、何をしたのか、何処の組織なのか、そんな事は関係なく全ての人間を辰次は治療します。
例外を作らない事で中立の立場を生み出し、彼らは身を守っているのだと感じます。
そしてそのルールの中で、最良の結果を二人は模索していると読んでいて思いました。
まとめ
この作品、表紙の亥三の顔が怖くて、勝手に暴力バリバリのバイオレンスだと思い込んでいました。
漫画担当の青木さんの作品「シンギュラー」は好きで読んでいたのですが、原作者さんが別という事で食わず嫌いをしていました。
愚かな私を赦して欲しい。
こちらの作品はヤングマガジン公式サイトで第一話が無料で閲覧できます。(19年10月現在)
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。