草野と希 2 電撃コミックスNEXT
著:岩国ひろひと
出版社:KADOKAWA
取引先から集めた八百万を持って姿を消した同僚の広瀬(ひろせ)を探す、元ヤクザの草野カツオ(くさの かつお)と広瀬の妹、希(のぞみ)。
二人は草野の勤める出版社の企画、広瀬がモデルを務める予定だったOLひとり温泉旅をJKひとり温泉旅に変更し、温泉地を渡り歩いているらしい広瀬を追う形で取材と撮影を続け……。
登場人物
ハタ
鰤田(ぶりた)の手下
金髪でマッチョな青年。
ムエタイの使い手。
鰤田の組には属しておらず、汚れ仕事を引き受けている。
ハタは鰤田を兄貴と慕っているが、鰤田はハタをいつでも切れる駒と考えている。
ワカメ
希が暮らす施設の女性
大柄でガッチリした体格の女性。
元女子プロレスラー。
施設はファミリーホームという形の一般家庭に近い戸建て住宅。
彼女はそこで子供達と家族の様に過ごしている。
姉の広瀬の事はあるが、ワカメは元ヤクザの草野と希が行動を共にする事に反対している。
あらすじ
姉の行方を追い、出版社の企画「JKひとり温泉旅」も同時に進行する事になった女子高生、広瀬希。
彼女は過去に実家の旅館をヤクザに潰された経緯があり、その事で元ヤクザの草野に嫌悪感を抱く。
だが、企画を成功させようと懸命に働き、周囲の人々にも腰の低い草野に徐々に信頼を寄せる様になる。
そんな経緯もあり当初、撮影の際、硬かった希の表情も自然な笑みがこぼれる様になっていた。
旅行誌の出版は先だが、撮影した写真は編集長の鮫崎が出版社のSNSに上げているらしい。
その事を草野から聞いた希は自分で大丈夫だろうかと不安を覚える。
叩かれたり、炎上したりしたら……。
そんな事を想像した希は企画の第二回目、湯村温泉での取材でガチガチに固まってしまうのだった。
感想
温泉とグルメを元ヤクザの草野と女子高生の希が巡る、ほのぼの旅行記、その完結巻。
この巻では湯村温泉での取材から始まり、過去に苦しむ草野、鰤田の手下ハタとのバトル、施設の人達と空庭温泉、フェリーで別府、別府明礬温泉等が描かれました。
今回はその中でも過去に苦しむ草野と、そんな彼に変わり始めていると言葉を掛けた希が印象に残りました。
かつて人の心が分からず、命じられるままある家族に追い込みを掛け崩壊させた草野。
彼が見せた苦悶の表情はその事を悔い、心を痛めている現れであり、変わっていっている事の証ではないかなと読んでいて思いました。
過去は変える事は出来ず、変えられるのは未来だけ。
真人間になろうと努力する草野には、明るい未来が待っている。
ラストのシーンを見てそんな風に感じました。
まとめ
JKと元ヤクザの温泉グルメ旅もこの巻で完結。
作品の舞台は近畿及び九州と西日本が中心でしたが、二人には東日本の温泉地にも取材に行って欲しかったなぁと二巻完結は少し残念に思えました。
もう少し色んな温泉地と美味しい食べ物、そしてそれを食べて笑顔になる希を見ていたかったです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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