ミステリと言う勿れ 4 フラワーコミックスアルファ
著:田村由美
出版社:小学館
狩集家の過去とその過去が起因となって起きた殺人。
整はそれを解き明かし広島を後にしました。
一つの事件が終わり、穏やかな日々を過ごしていた雨のある日。
整は今日はポテトサラダを食べに行きつけの洋食屋へ向かう道中、雨の中、土手に座り込み山賊の歌を歌う男性に目を止めます。
登場人物
雨でずぶ濡れの男
ポテサラを食べに出かけた整が出会った男
長髪に顎鬚、コート。右の手首の内側に腕時計。
記憶を失っているらしく、自分の名前や何故そこにいたのか覚えていない。
牛田悟郎(うしだ ごろう)
病院で整と同室に入院している老人
土手を滑り落ち精密検査の為、池本に半ば強制的に入院させられた整と同室だった老人。
整に自身の過去を語る。
梅津真波(うめづ まなみ)
病院にて温室を管理している女性
バンダナ眼鏡の女性
時折、会話の中に“にゃ及びにゃん”をおりまぜながら話す。
ライカ
ストレートロングの美女
整が検査を受けた病院の入院患者らしい。
牛田に自省録という書籍を渡す。
その自省録を使い整にメッセージを送った。
あらすじ
土手の草原に座り込んでいた男に声を掛け、整は遊歩道の東屋で雨宿りしながら彼の話を聞く事にした。
何をしているのか? どうしたのか?
そう尋ねるが、男は何故ここに居るのかも家は何処なのかも、そして自分の名前までも分からないようだった。
思い浮かんだ言葉は記憶喪失。
整は慌てて救急車と警察に連絡しようとする。
しかし男はそれを止めた。
悲し気な男の横顔を見た整は、東屋のテーブルを挟み立ったまま彼と会話を続ける事にした。
男に話を振るうち彼は水の話題に反応し、水素と酸素の話を喋りだした。
自分の事は覚えていないようだが、知識は忘れていないようだ。
携帯電話、リチウム電池、水素爆弾、ゴジラ……。
男の話は整の話題を起点に連想ゲームのように続いていった。
感想
今回は狩集家のエピソードのラストから始まり、記憶喪失の男、病室の老人、暗号と温室の四つのエピソードが収録されました。
今回は整が言った「人は病に負けたから死ぬんじゃないです」という言葉が印象に残りました。
作中、整が言う様に病に罹り治療に専念する事を、闘病すると表現しているのをよく聞きます。
整はそれについて闘うから勝ち負けがつくと話しました。
病はどんなに気をつけていてもなる時はなってしまいます。
そしてそれは本人の努力ではどうする事も出来ない事も多い筈です。
作中、整が言う様に負けたのは患者では無く、発展途上である医療であるように思います。
彼は言います、負けたのは医師であり現時点での医学であると。
医師の敗北であれば、さらに知識を広げるといった努力の方法がある筈ですし、医学は今も研究され日々進歩しています。
多分、整が引っ掛かっているのは、病で亡くなったのを個人の責任に置き換えている所ではないでしょうか。
恐らく殆どの人が、それは自死を望んでいる人であっても、死にたくないと思っている筈です。(自ら死を望む人もそれに至った原因が解決すれば生きようとすると思うのです)
懸命に生きようと藻掻きそれでも亡くなってしまった人に、外野が負けたというのは確かに失礼な気がします。
今回、読んでいてそんな事を思いました。
まとめ
この巻のラスト、ライカと言う暗号を操る女性が登場しました。
次回、彼女がどう整に関わってくるのか、読むのが楽しみです。
この作品は月刊fiowers公式サイトにて第一話が無料でお読みいただけます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。