ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~ 1
角川コミック・エース
著:瀬野反人
出版社:KADOKAWA
言語やコミュニケーションの研究をしていた教授の下、言語を学んでいたハカバは、怪我をした教授の代理として現地調査に向かいます。
彼が訪れたのは魔界と言われる場所。
教授の研究は、一般的にはモンスターと呼ばれる者達の言語や習慣、コミュニケーションについてでした。
登場人物
ハカバ
獣人語を学ぶ新人言語学者
教授から言葉は学んだが、現地調査は初めて。
モンスターの生態や習慣に戸惑いながら、彼らの事を知ろうと果敢に飛び込む。
ススキ
ワーウルフの少女
教授とワーウルフの女性の間に生まれたハーフ
面倒見が良く、ハカバの役に立てる事が嬉しい。
教授
言語学者
モンスターの言語、生体について研究している。
腰を痛め、ハカバに調査の代理を頼む。
モンスター達とのふれあい方がムツ○ロウさんぽい
ススキの母
ワーウルフの女性
教授との間にススキを儲けた。
人間の言葉では枯草という名前
人からすれば迫力があり怖いが、実際は繊細で優しい女性。
カシュ―
リザードマンの女性
鱗の色は夕陽の赤
彼女とケクーはハカバとススキの旅に同行してくれた。
ケクー
リザードマンの男性
カシュ―の弟
鱗の色は海の青
力は強いが不器用。
一巻で登場したモンスター達
ワーウルフ
狼の特徴を有した獣人
鳴き声でのコミュニケーションもとるが、嗅覚に優れている為、匂いでの情報伝達がかなりの比重を占める。
聴覚、嗅覚に優れるが視覚は人間よりも色覚が少ない。
比較的、人間に近い。
スライム
液体状の粘性生物
個にして全、全にして個を体現している生物。
振動を感じるとそこを調べようと襲い掛かる性質あり。
大きくなればなるほど知性が増す。
地域によって性格、喋り方に偏りがある。
会話は聴診器の様な器具を使い行う。
リザードマン
蜥蜴の特徴を有した獣人
喉を鳴らす、歯の隙間を通る呼気を利用して、ワーウルフ等とは会話する。
色覚に優れ、手紙を使った意思の伝達には色及びその濃淡で伝える。
人には判別が非常に困難。
クラーケン
オオダコのモンスター
体表の色の変化、触腕を使った手話的な方法で対話する。
対応種族によって色か触腕かを使い分けている。
浜辺では陸上生物と海の産物をやり取りしている。
ハーピー
猛禽に似た種族
鳴き声は高く、それによる対話は他種族とは難しいので、主にボディーランゲージを使用する。
ただし、動体視力が高い為か、動きが早く他種族がボディーランゲージによる対話をした場合はとても疲れる。
ドラゴン
翼を持ち炎を吐く、巨大な蜥蜴の様な種族
死ぬまで成長を続ける為、死を迎える頃には人の家を超える大きさになる。
その為、同族であっても言語を聞き取れなくなる。
あらすじ
師事する教授の怪我により、代理として魔界と呼ばれる地域に降り立った言語学者ハカバ。
彼はまずは現地ガイドとの接触を果たすべく、ワーウルフの集落を目指す、しかし体力的な問題で村の入り口でへばってしまう。
周囲をワーウルフ達に囲まれ、終わりかと思われたが、以外にも彼らは理知的で意思疎通の為、現地ガイド役の人物を呼んでくれた。
現れたのは人とワーウルフの中間の様な少女だった。
話を聞けば教授とワーウルフの女性との間に出来た子らしい。
ススキと名乗った少女の案内で村を巡る。
ハカバは言葉と習慣に苦労しながら、集落に住むワーウルフ達と挨拶を交わした。
新顔にも寛容な事を、ススキの家に戻ったハカバが話すと、彼女の母親「枯れ草」は教授の様なモンスターを恐れない人間は、ハカバで二人目だという。
他の人間はモンスターだという事で、有無を言わせず敵対行動を取っていたようだ。
教授にワーウルフ語を教えたのは彼女のようだった。
「仕事は主人と同じ?」と問う枯れ草に、ハカバが肯定すると、彼女は「じゃあ私達皆一緒に暮らせるようにしてくれるのね」と話した。
感想
物語は新米学者のハカバが、モンスター達の住む魔界と呼ばれる土地を旅しながら、彼らの生態を紹介する形で進んでいきます。
ワーウルフの他にも、スライム、リザードマン、クラーケン、ハーピー、ミノタウロス、ドラゴンとファンタジー世界の住人が次々に登場します。
彼らはどの種族も人に近い知能を持ちますが、種族による習慣、考え方の違い、種族特性によりそれぞれ異なった特徴を有しています。
比較的人に近い価値観を持つワーウルフも、読んだかぎりは犬のような性質を色濃く有しています。
完全に擬人化され、人と変わらない感覚の作品は過去にもありましたが、声帯に違いによる発声、可聴領域の差、色覚の差、嗅覚等、種族による違いをここまで差別化して描いた作品はあまり無かった気がします。
まとめ
出て来るモンスター達が全て可愛いです。
あっ、ここでいう可愛いは動物的な可愛さです。
この作品は、ヤングエースUPにて無料で閲覧いただけます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。